プロ野球ペナントレースは開幕したばかりだが、開幕2日目に広島対阪神戦で四死球が28個も出たのをはじめ、セパ6試合で四死球77個という制球の乱れが大きな話題となっている。
プロ野球解説者の江本孟紀氏(69)が「投げ込みが足りない」と喝を入れた。
80年ぶりにワーストタイ記録
2017年4月1日、広島対阪神の試合で延長10回までに両軍合わせて28個の四死球を出したのは象徴だった。広島は6人の投手全員が四死球を出し、合計15。阪神は7投手のうち4人が出し、計13。両軍合わせて28。
ちなみに記録的には9回までの数で26四球(1死球)だったことからセリーグ記録を塗り替えたほか、1リーグ時代の1937年にあった26四球に80年ぶりに並ぶ不名誉な記録となった。
参考までに巨人の菅野智之が2016年の1年間、183回1/3の間に与えたのは26四球だった。
また、4月1日は阪神と広島に限らず、セパ6試合で合計77個の四死球が出ていた。他の5試合も平均で10個程度は出ており、この制球のひどさは関係者から怒りを呼んだ。
江本氏は4月4日付「サンケイスポーツ」のコラムで、四死球の多さを批判した。とくに広島対阪神戦については「去年優勝したチームと、今年こそ優勝を狙おうというチームが、あんな試合をしたら、いかん。1イニングで3つも4つも四球を出しては、いかん。アマチュアの選手や高校生に『プロ野球の投手なのにストライクが入らないんですか』と笑われるぞ」と切り捨てている。
なぜ、開幕からこんなに四死球が出るのか。その原因については「キャンプ、オープン戦で、投げ込んでいないからだよ。球を投げずに調整する。ここ数年の悪習のツケが、まわってきたといっていい」「コントロールは、投げ込まないと、身につかないんだ」と指摘している。
「1軍で活躍するにはコントロールが必要」
キャンプの投げ込みと制球力の関係は、西本聖(たかし)氏(60)も1月30日付「日刊スポーツ」のコラムで説いていた。巨人での現役時代、「投げ込むことによる体力強化と下半身強化、コントロールをアップするため」との理由で、キャンプ中1日に300球投げる時があったという。
「200球を超えると疲れが出てくる。でも、そこから無駄な力を使わない投げ方を覚えていく。上半身の力の入れ方を体で覚えた。本当のピッチング練習は200~250球を超えてから。これは稲尾和久さんにも言われた」
西本氏は、「漠然と投げるのはダメだが、目的を持って投げ込むのは悪いことではない」として、「1軍で活躍するには狙った所に投げられるコントロールが必要。そしてコントロールのない投手は練習するしかない」と制球力の重要性を第一に論じている。