ある男性ネットユーザーがYouTubeで公開しているハムスターの飼育動画に、インターネット上で「動物虐待ではないのか」「ハムスターが可哀想で仕方ない」との指摘が相次いでいる。
問題視されているのは、この男性が独自で行っている飼育法だ。エサとしてトンカツや唐揚げをハムスターに与えたり、コーラを飲ませたりする動画を大量に公開しているのだ。こうした行動には、獣医も「虐待と捉えられてもおかしくない」と語る。
どら焼き、コーラ、刺身、生肉も
この男性はYouTubeチャンネルの説明ページで、これまでに20年以上ハムスターを飼い続けてきたと説明。専門書などにまとめられている飼育方法は「眉唾」だと指摘し、経験則に基づいた独自の飼育方法を動画で紹介するとしている。
投稿動画の大半はハムスターにエサやりをする内容だ。2017年3月29日に投稿された動画も、ハムスターに豚汁を与える様子をおさめたもの。このユーザーは、過去にも人が食べる料理をそのままエサとして与えている動画を数多く投稿しており、例えば、
「チョコバー」「アイスクリーム」「ミートソーススパゲティ」「トンカツ」「唐揚げ」「コーラ」「どら焼き」「マグロの刺身」「豚の生肉」「チキンナゲット」
などが見つかる。そのほか、チーズが溶けるまでレンジで加熱したものを、冷ますことなくハムスターに与えているものもあった。
また、飼育部屋の様子をおさめた動画を見ると、少なくとも数十頭のハムスターを飼育していることが分かる。なかには、毛が抜け落ちてピンク色の肌が露わになっているハムスターもいた。
こうした飼育動画に注目が集まったのは、あるツイッターユーザーが2017年4月1日に「告発」したことがきっかけだ。この投稿者のツイートに呼応する形で、ネット上では、
「飼ってた人間としては許せないものがありますし、完全に虐待ですよ」
「自分が美味しいと思うからハムスターにあげても大丈夫とかじゃないし 愛情があるならちゃんと正しく育ててあげてほしい」
「もう二度とハムスターを飼わないで」
などといった厳しい批判の声が殺到。
一方で、この動画チャンネルの「ファン」とみられるユーザーからは、「それぞれが元気に育ってるからいいんじゃない」「そこはその家の飼い方じゃないのかなぁ」と擁護するような意見も出ていた。
獣医「無知なのであれば勉強して欲しい」
実際のところ、この男性が動画で紹介しているハムスターの飼育法はどれだけ問題なのだろうか。
ハムスターの診察も受け付けているという東京都内の動物病院に勤める獣医は4月3日のJ-CASTニュースの取材に、市販されているハムスター用のエサを与えることが「一番」だと説明。その上で、
「ハムスターは雑食なので、こうしたエサでも食べてしまうのでしょう。ですが、人間が食べているものは塩分が多く高脂質なので、ハムスターの健康にとってよくないことは確かです」
と男性の飼育法に苦言を呈した。また、「ネギ」や「チョコレート」といった食べ物をハムスターに与えていた点については、
「ダメですね。これらの食材は、ほんの少量でも中毒死を引き起こす危険性があるので、与えること自体がもうありえない行為です」
と語った。
また、この男性が同じケージで複数のハムスターを飼育していることについても、「縄張り争いでけんかをすることがあるので、これもよろしくない飼い方です」。最終的には、飼い主に対し、
「無知なのであれば勉強して欲しい。もし分かってやっているのであれば、虐待と捉えられても仕方がない。それくらいひどい飼い方です」
と強い語調で話していた。