近年、子ども用の電動歯ブラシが販売されている。4歳児以上なら使えるようだが、幼い子どもの歯には刺激が強すぎないだろうか。
J-CASTヘルスケアの取材に対し、4歳の子どもを持つ30代の母親は「歯医者で言われたりしたわけではないのですが、保育園に通っている子どもに電動歯ブラシを使ってもいいのかなと何となくは気になります」と話す。詳しく調べてみた。
「学校歯科保健用品」の推薦品に認定
フィリップスエレクトロニクス ジャパン(本社:東京)は、子ども用充電式電動歯ブラシ「ソニッケアー キッズ」を販売している。2017年3月30日、「日本学校歯科医会」による「学校歯科保健用品」の推薦品に認定されたと発表した。同会は、幼児や児童生徒の歯科保健の向上を目的として1932年に組織された団体だ。フィリップスの発表資料によると、この製品が子どもの歯磨き習慣づけや楽しみながら正しい歯磨き方法をサポートするという点が評価されたという。
対象年齢は4歳以上となっている。しかし、前出の母親のように、保育園や幼稚園に通う年齢の子どもでも電動歯ブラシを使って大丈夫かと考える人はいるだろう。こうした声は、電動歯ブラシが一般家庭に普及し始めた1990年代からあったようだ。1992年に東京歯科大学小児歯科講座が「各種電動歯ブラシの歯垢清掃効果と使用感」と題して、電動歯ブラシの子どもへの影響を調査した結果を小児歯科学会で発表している。
東京歯科大のウェブサイト上で確認できる資料によると、当時の電動歯ブラシの清掃効果は手で磨くのに比べて特別高いとは認められなかったが、口内での出血や損傷、疼痛は確認されなかった。ただし、ブラシのサイズが大きく不快感を訴える被験者はいたようだ。 ただ、これは今から20年以上前の話。現在は子どもの口の大きさに合わせたブラシサイズも揃っており、振動の強さを調整した製品も多く存在している。
今日では、小児歯科学会のサイトで、「小学校低学年以下でも電動歯ブラシは使用してもいいですか?」という問いに対し、「最近では電動歯ブラシも沢山種類が販売されていてかなり良くなってきていますので、使用してもかまいません」との回答が掲載されている。
注意すべきは「正しく使えているか」
小児歯科学会が注意しているのは、電動歯ブラシの正しい使用だ。前述の回答でも、
「使い方や歯ブラシの回転方法によっては、歯肉が傷ついたり、下がったり(退縮)します。また、歯並びや歯の形によっては細かいところまで電動ブラシの毛先が届きにくいこともあります。かかりつけの歯科医院にて相談し十分な指導を受けてから使用した方がいいでしょう」
と促している。
東京歯科大学の「歯科学報 Vol.106 No.2(2006年)」に掲載された「歯ブラシの機能と選択」という論評では、電動歯ブラシは動きが早く、特にブラシが小さいものは過剰に力が加わりやすいため、正しく使用しなければ大人でも何らかの害が出る可能性があるとされている。
現在は「ソニッケアー」のような音波水流タイプや回転ブラシなど、電動歯ブラシの種類も豊富で、各製品で効果的な使い方は異なる。子どもに限らず自分の使い方が気になるという人は、かかりつけの歯科医院などに相談してみるとよさそうだ。