箱根駅伝の5区で4年連続区間賞を受賞した柏原竜二が、27歳の若さで現役を引退した。所属の富士通が2017年4月3日、公式サイトで発表した。引退は3月31日付。
柏原は山登りの箱根5区で圧倒的な強さを見せ、「2代目・山の神」と言われていたが、実業団に入ってからは記録が伸び悩んだ。初代・山の神と言われた今井正人(32)も、大学時代に期待を受けたほどの活躍ができずに伸び悩んでいる。
約5分差を1人で縮める
柏原は東洋大学時代、1年生から箱根5区の不動のレギュラーとして活躍した。2009年1月、1年生の時はたすきを受けた時点で約5分あったトップとの差をたった1人で縮め、往路優勝と総合優勝に貢献。今井の5区区間記録を47秒更新し、「新・山の神」としてその名を轟かせた。4年連続区間賞を達成し、5区の歴代記録は1~4位が柏原という圧倒的な実力を見せ、大学を卒業した。
ところが、実業団では伸び悩んだ。富士通入社1年目2013年のニューイヤー駅伝では6区を37分48秒で区間4位。15年は5区を48分6秒で同7位、16年も5区だがタイムを落とし、48分31秒で同9位だった。
マラソンには15年9月、シドニーマラソンに挑んだが、2時間20分45秒に終わった。参考までに、日本陸上競技連盟が定める17年世界陸上選手権の派遣設定記録は2時間7分0秒だ。
柏原は引退にあたり、富士通陸上競技部の公式ブログでコメントを発表しており「昨シーズン(2016年度)に度重なる怪我・故障をしてしまい、この発表をしている今でも完治しておらず復帰の目処がたたないことから、競技の第一線を退くことにしました」と、けがが最大の理由だったと明かしている。今後は富士通で一般業務を続ける。
今井正人の直近は2時間11分~12分台
初代・山の神である今井も順天堂大学時代、当時箱根の5区で他を圧倒し、将来を嘱望されたが、実業団・トヨタ自動車九州に入社後は大学時代ほどの脚光を浴びていない。15年2月に東京マラソンで日本歴代6位の2時間7分39秒を記録し、同年8月の世界陸上選手権代表に選ばれたが、直前期に頭痛や発熱を訴え、本戦を欠場。その後のマラソンでは2時間11分~12分台と伸び悩んでいる。
「山の神」たちがその後、マラソンなどで期待されたほどの活躍ができない理由について、15年1月13日付「ダイヤモンド・オンライン」では、陸上経験者の話として、「5区で快走を見せる選手は登りに特化した走法や体質を持つという。足を前に伸ばすように出すのではなく、短いストライドで上へ体をグイグイ運んでいく感じだ」「平地の長距離とは比較ができない。山の神たちは、この特異なコースに適しているのであって、平地をハイスピードで走れるわけではないというのだ」と分析している。
山の神は現在コニカミノルタ所属、青山学院大学出身の神野大地(23)が「3代目」として競技を続けている。