日本を代表するテーマパークの東京ディズニーリゾートが人手確保に苦労している、として驚きの声が上がっている。非正規従業員約2万人を2017年4月1日付で組合員にし、非正規従業員も待遇改善を求めた交渉をしやすくすると、日経新聞などが3月15日に報道したからだ。
東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドの労働組合は2月の労使協議で、約2万人の非正規従業員を組合員にすることで合意した。対象となるのは、アトラクションの運行や園内の清掃、飲食店の接客や調理、駐車場での車の誘導などを行っている非正規従業員だ。全員が組合員となれば、正社員だけだった2900人から7倍を超える約2万人超となる。非正規従業員を組合員にする動きは国内の他の企業でも出てきているが、ここまで一気に増えるのは珍しい。
労組加入を非正規従業員まで拡大
これまでオリエンタルランドで雇用されていたのは約2万3000人で、そのうちの約8割が非正規従業員だという。正社員は賃上げや待遇改善などを労使交渉の場で要求してきたが、非正規従業員は対象に含まれておらず、交渉手段を持たなかった。組合員となることで来春から時給引き上げなど経営側に対する要求を労組が担ってくれるようになる。
この労使合意の背景にあるのが人手不足だ。募集しても人が集まらないなど企業の採用環境は年々厳しさを増している。国内屈指の人気テーマパークを抱えるオリエンタルランドも例外ではなく、人材確保のために2016年に契約社員約820人を正社員化し、同時にアルバイトの時給を引き上げるなどして待遇改善に努めてきた。労組加入を非正規従業員まで拡大するのも「待遇改善を進めて仕事を覚えた非正規をつなぎとめる」(関係筋)狙いがあるとみられる。