円高、英国のEU離脱、トランプ...
春闘全般の不振あるいは頭打ち感は、直接には2016年の円高による業績の落ち込みと、英国の欧州連合(EU)離脱決定や保護主義を掲げる米トランプ政権の登場など世界経済が不透明感を増していることが響いたのは間違いない。そんな中でも、曲がりなりにもベアは継続しているが、そもそも「毎年ベアを続けてきても、消費拡大に必ずしもつながらない」(エコノミスト)というアベノミクスの限界を感じとる向きが増えている。
全国紙の集中回答を受けた紙面も、辛口が目立ち、安倍内閣支持の論調が目立つ読売でも、社説(20日)では「働き方改革」への期待を中心に書いて官製春闘への直接の評価は避けたが、16日朝刊2面の解説記事では「政府シナリオ 実現見通せず」の見出しを立て、安倍内閣の好循環シナリオが「賃上げの失速で実現は見通しにくくなった」と指摘しているほど。
特に日経の厳しい論調が目立ち、22日社説では「政府が企業に賃上げを......要請すれば賃上げが順調に進むというものではないことは、はっきりしてきたといえる」と断じ、継続的な賃上げの前提となる企業収益アップのために「企業の後押しこそ、政府の役割」として、規制の見直しや企業統治改革などの一段の取り組みを求めている。