風俗産業が衰退している。いわゆる風俗営業法に関連した営業は、いくつかの業種を除いて、減少の一途をたどっているのだ。
風俗営業には大きく分けて、接待飲食等営業、遊技場営業、性風俗関連特殊営業の3種類がある。
バー・キャバレーなど5年で4000店消える
警察庁生活安全局保安課がまとめた「2016年における風俗環境の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」によると、接待飲食等営業は2012年には6万8558店だったのが、2016年には6万4599店と約4000店が消えた(以下、数字はいずれも年末時点)。接待飲食等営業は、いわゆる居酒屋から始まり、バー、キャバレー、クラブ、キャバクラ、料理屋、カフェなど飲食を伴う店のほとんどが含まれる。
飲食関係の雑誌記者は、「飲食業は、景気の影響を受けやすい業種の一つ。その上、高齢化社会になったことで、客の年齢層が上がり、外食をしなくなった。キャバクラやクラブも企業の社用による利用が減少し、まさしく斜陽業種になっている」と指摘する。
次は遊技場営業だが、中心はパチンコ店と雀荘、ゲームセンターになる。こちらも接待飲食等営業と同様だ。パチンコ店は2012年の1万2149店から2016年には1万986店に1000店以上がなくなった。雀荘は1万1450店から9176店に2000店以上が、そしてゲームセンターは6181店から4542店と1600店超が消えた。
ギャンブル雑誌の記者は、「雀荘はゲームの影響がある。若者は麻雀よりもゲーム。しかし、もっとも大きな要因は、かつて雀荘の中心だった層が定年に達したことではないか。パチンコは若者層がギャンブルをしないという一面もあるが、パチンコとゲームセンターには共通の傾向がある」という。
実は、パチンコ店もゲームセンターも減少しているものの、1店の規模が大型化している。例えば、パチンコ店では1店当たりの台数が2012年378.0台から2016年には411.9台に増加している。遊戯台が501-1000台のパチンコ店は2012年には2355店(19.4%)だったのが、2016年には2585店(23.5%)に増加、1001台以上の店も190店(1.6%)から287店(2.6%)に増加している。ゲームセンターも1店舗当たりの台数は72.2台から79.7台に増加、101台以上を設置する店が占める割合は28.3%から30.6%に増加している。
つまり、「パチンコ店もゲームセンターも、顧客の減少を中小店の淘汰で、1店が大型化することで乗り切っている」(同)というのだ。