生き残りをかけて最後の短期決戦
動揺を隠せないのは、半導体の高値売却が経営再建の必須条件となっている東芝と、主力取引銀行だ。大手行幹部は「売却先の選択肢が狭まり、安値を示した企業へ売らなければならなくなったら、東芝は再建できるのか」と顔を曇らせる。
政府内では、官民ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行に分社化後の半導体新会社の株式を3割以上持たせ、日本勢が一定の発言権を持てるようにする案も浮上している。ただ、「革新機構は『企業救済機構』ではない」(世耕弘成・経済産業相)として、革新機構の活用に慎重な意見もあり、実現は流動的だ。
売却先が無事に決まったとしても、独占禁止法に基づく各国の審査をクリアできるかなど、越えるべきハードルが次々に待ち構える。2018年3月末まで残された時間はちょうど1年。東芝は生き残りをかけて最後の短期決戦に臨むことになる。