「ADHDの子は1日10回ほめよう」 親の向き合い方を専門家に聞いた

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母親はコミュニケーション技術を磨こう

   ――子どもとのコミュニケーション方法ではなく、ですか?

「はい。一般的に誰にでも通用するコミュニケーション技術の向上です。ADHDの子を持つと、学校の先生や医師と話をする機会が増えます。ほかの子とトラブルになることや、成績が落ちてくる場合が多く、周りの人にADHDを理解してもらったり、色々なことをお願いしたりする立場になります。また、家の中では、ADHDについての理解不足によって、家族から『わがままな子だ』と叱られるケースや、頻繁にほめるといったADHDの子に効果的な子育て法に賛同を得られないケースがあります。ほめにくい環境を変えるには、家族に理解されないといけません」

   ――具体的には、どういう方法でコミュニケーション技術を磨くのですか。

「母親たちに、要望したいことを整理してもらいます。何をどこから話したらいいかまとまっていないことが多くあるからです。うまく話せるか自信がない方もいます。効果的に伝えるための下準備をして、それを参加者全員に母親役、先生役、子ども役、祖父母役などになってもらい、ロールプレイング(役割演技)によって練習を行ないます。お互いにやってみると、ずいぶん効果があがりますよ」

   ――最後にADHDの子を持つ親たちにアドバイスをお願いします。

「ADHDの子を持つと、『(いけないことを)わざとやっているのか』『親をバカにしているのか』『できるのにやらないのか』と思ってしまうことがあるかもしれません。ADHDが脳内の神経生物学的な理由によって生じるものであることを理解し、子どもの行動を見てあげてください。些細なことでもいいですから、いいことをしたら具体的に大げさにほめてください。それと、自分だけで頑張らないで。成人まで長い道のりですから、得られるサポートはできるだけ多くもらいましょう。何より自分の健康が大事です。ストレスをためないで。いい香りのお風呂に入るとか、音楽を聞くとか、息抜きの方法を見つけてください」
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