低栄養群の死亡危険度2.5倍 認知機能も低下しやすく
厚生労働省の「平成27年(2015年)国民健康・栄養調査」によると、高齢者の低栄養化傾向(BMI20以下)は、高齢になるほど強まり、75-79歳で16%にとどまるものの、80-84歳で20.2%、85歳以上で29.1%だった。
「50歳を過ぎたら『粗食』はやめなさい!『低栄養』が老化を早める」などの著書がある、東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二さんはこれまで、さまざまな場で高齢者の低栄養の危険性を指摘している。
「一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会 はっ酵乳、乳酸菌飲料公正取引協議会」のウェブサイトで「健康長寿と栄養摂取」をテーマに、新開さんは「低栄養状態が、どのような死因に結びついていたかを調べると、心筋梗塞や狭心症など心血管病による死亡の危険度を増大することがわかりました。高栄養群の死亡の危険度を1とすると、低栄養群では心血管病による死亡の危険度が2.5倍になっていました」と述べている。また、低栄養の高齢者ほど、認知機能が低下しやすいこともわかったという。
高齢者の「低栄養」に警鐘を鳴らし、肉食をすすめる書籍も多く出されている。精神科医、評論家の和田秀樹さんは著書の「『がまん』するから老化する」で「がまん型の生活をしていると食事も質素になりがちだ。食事に興味を失い、ないがしろにしていると肉体的にも精神的にも人間を老化させてしまう。真面目すぎる日本人の場合、空腹、痛みから性欲までがまんは美徳であり、年相応に健康的と思われているようだが、これは迷信と言っていい。節制と食事をおろそかにすることは違う」と述べている。