「肉を食べるようにしてください」。健康診断や診察で医者のもとを訪れる高齢者らがこうアドバイスされることが増えているという。飽食が当たり前の現代、高齢者らは肉類などを避けた粗食こそが健康的で美徳と考えがち。それが高じて低栄養となり実は危険な状態の高齢者が多くなっているという。
高齢者の低栄養状態は、死亡危険度の増大や認知機能低下リスクなどを招く原因にもなるという。
黒柳徹子さん、三浦雄一郎さんは「肉食パワー」
元気に活動を続けている高齢な著名人らの、そのパワーの素として「肉食」が語られることが多い。タレントの黒柳徹子さん(83)は、毎日肉を食べていることがテレビでみせるパワフルなトークの素という。
映画やドラマ、特撮、アニメなどの音楽で知られ、16年に「卒寿記念コンサート」を行った作曲家、渡辺宙明さん(91)は「肉を食べる、たまごを食べる」ことを健康法にしている。80歳のときに世界最高峰のエベレスト登頂に成功した登山家の三浦雄一郎さん(84)は、週に1、2回300グラムほどの、月1回は1.5キロのステーキを食べるという。
日本初の女性報道写真家、笹本恒子さん(103)は100歳を迎える時に健康の秘訣を聞かれ「毎日早起きして体操することと、好きなワインとお肉を食べること」と答えた。
芸能や創作、冒険など、摂取したエネルギーを投じる活動があるこれらの人たちと違い、一般の人たちは、それらを貯めこんでしまい健康を害するのではと恐れてしまう。さらに、肥満やメタボリックシンドロームの問題などから、それらを避ける健康法として「粗食」が推奨されたりもするから、ますます肉を食べる機会が少なくなる。そして、気が付かぬまま低栄養の状態になってしまうのだ。