肥満が糖尿病や心筋梗塞、脳卒中の原因になることはよく知られているが、がんにとってもタバコと同じくらい悪影響を与えることが最近の研究でわかってきた。
英ロンドン大学インペリアル・カレッジの研究チームが、太るとなりやすいがんが11種類あることを突きとめ、英医学誌「British Medical Journal(BMJ)」(電子版)の2017年2月28日号に発表した。
肥満はタバコと同じくらいの悪影響
がんと肥満の関係については、日本がん学会のウェブサイト「肥満はタバコと並ぶがんの原因」の中で、次のように書いている(要約抜粋)。
「がんの原因の30%が『喫煙』です。また、30%が『不適切な食事』で、5%が『運動不足』です。合わせて35%が肥満と関連しており、肥満は喫煙とおなじくらい良くないのです」
そして、こう続ける。
「最近報告された英国人524万人を対象にした追跡調査によると、22種類のがんのうち17種類のがんは肥満するほど増え、特に大腸がん、肝臓がん、胆のうがん、すい臓がん、子宮がん、腎臓がんなどは肥満の影響を受けやすいことが分かってきました」
ではなぜ、肥満ががんを発症させるのか。そのメカニズムについては、肝臓がんを例にこう説明する。
「肥満になると、がんの発生を促す『二次胆汁酸』をつくる菌が腸内に増えます。そして、作り出された二次胆汁酸が血管を通して肝臓に運ばれ、肝臓の細胞を傷つけます。そして、炎症反応やがんの発生につながるタンパク質を生み出す『SASP』という現象を起こし、肝臓がんを発生させるのです」