森友学園の籠池泰典理事長の妻、諄子(じゅんこ)氏と安倍昭恵氏の間のメールのやり取りをめぐり、民進党の辻元清美衆院議員に対する逆風が強まっている。メールでは、諄子氏が「辻元清美が幼稚園に侵入しかけ」たと主張しているのに対し、辻元氏は侵入の事実を繰り返し否定してきた。
ところが、2017年3月28日になって、辻元氏が17年2月の記者会見で「塚本幼稚園に参りました」と発言していたことがクローズアップされた。発言の矛盾を指摘する声も出ているが、民進党では「発言に矛盾はない」と説明している。
「辻元清美共産党今はぐっと辛抱です」
2017年3月24日に自民党の西田昌司参院議員が公開したメールのやり取りでは、諄子氏は
「辻元清美共産党今はぐっと辛抱です(笑)」(2月28日)
「辻元清美が幼稚園に侵入しかけ私達を怒らせようとしました嘘の証言した男は辻元と仲良しの関西生コンの人間でしたさしむけたようです」(3月1日)」(編集部注=いずれも原文のまま)
などと辻元氏を非難していた。辻元氏は社民党を経て民進党に所属しているため、「共産党」の記述は明確な誤りだ。諄子氏は、辻本氏が「侵入しかけ」た日時を明示していないが、辻元氏や民進党は繰り返し反論している。3月24日に民進党役員室名で発表した文書では
「本年3月1日のメールに、辻元清美議員が塚本幼稚園に侵入しかけたとされていますが、そのようなことは一切なく、そもそも同議員は塚本幼稚園の敷地近くにも接近していません。このことは、周囲にいた多数のメディア関係者を含め、皆が確認しているところです」
と反論。「関西生コンの~」のくだりも、
「辻元清美議員が、作業員を下請け業者に送り込んだとされていますが、これも全くの事実無根です」
と否定した。
メール公開前も幼稚園「侵入」繰り返し否定
メールのやり取りが公開される前の段階でも、辻元氏は「侵入」説に繰り返し反論してきた。籠池理事長は3月9日公開のユーチューブの動画で、
「もう少しで、この園の中まで入ってこようとした。手で押したら入れる。侵入罪みたいなもの」
と主張したが、辻元氏はウェブサイトで
「同行した議員の中には塚本幼稚園の近くまで行った議員もいますが、その際に辻元は調査チームの車の周囲から出ておらず、塚本幼稚園には近づいておりません。大半の時間は車中で待機しておりました」
と否定していた。
3月28日に辻元氏の事務所が報道各社に送った文書でも、
「幼稚園に侵入した事実はありません。2月21日に、視察団と同行しましたが、塚本幼稚園に入っておりませんし、入ろうとした事実もございません。2月28日も、塚本幼稚園に入っておりませんし、入ろうとした事実もございません」
と繰り返した。
「塚本幼稚園に参りました」の主語は「(辻元氏以外の)調査チーム」
ところが、辻元氏は2月21日、森友学園が開校を目指していた小学校「瑞穂の国記念小学院」視察後の記者会見で、
「お昼の時間に少し時間があったので、理事長への面会を求めていましたので、幼稚園の方に、塚本幼稚園の方に参りました」
と発言していた。この発言をフジテレビが3月28日夕方のニュースで、「塚本幼稚園に行ったと明確に語っていた辻元氏」というナレーション付きて報じ、発言の矛盾を指摘。29日発行の夕刊フジも「テレビ局はこの映像を何度も流している」とした。
辻元氏の「塚本幼稚園の方に参りました」という発言が出た2月21日の会見は、民進党の調査チームの記者会見として開かれており、チームメンバーの玉木雄一郎、逢坂誠二の両衆院議員も同席していた。民進党役員室の説明によると、玉木氏は幼稚園の呼び鈴を押すなどしたが、辻元氏は「道路向かいにいた」という。辻元氏の発言は、チームが「塚本幼稚園の方に参りました」という意味で、辻元氏自身が行かなかったこととは矛盾しない、という説明だ。
2月28日の視察についても、辻元氏の体調が悪かったこともあって、大半の時間は調査チームの車内にとどまっており、幼稚園には入っていないと改めて説明した。