東電との提携に及び腰 電力他社が警戒していること

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   東京電力ホールディングス(HD)は2017年3月22日、新たな経営再建計画「新々総合特別事業計画」の骨子を発表した。福島第1原発の事故処理費用は、従来想定の倍増となる計21.5兆円に膨らむと見込み、これを賄う費用を捻出するため、原発事業と送配電事業で他の大手電力と再編・統合し経営を効率化する方針を示した。

   また、利益増に貢献する柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向け、地元に安心してもらうために同原発について他電力との共同運営の道を探る方針も打ち出した。4月に骨子を全体像にまとめた計画を政府に申請し、認可を受ける見込みだ。

  • 東電HDが新たな再建計画を発表(東京電力ウェブサイトより)
    東電HDが新たな再建計画を発表(東京電力ウェブサイトより)
  • 東電HDが新たな再建計画を発表(東京電力ウェブサイトより)

「脱国有化」の判断は2019年度以降に先送り

   2017年6月の定時株主総会後には東電HDの会長、社長がそろって交代することも明らかになっており、新たな経営陣のもとで新たな再建計画を実現に移すことになる。しかし、他の大手電力は原発事故費用の負担を警戒し、東電HDとの事業再編に慎重な姿勢を崩していない。また、除染費用については政府が保有する東電株の売却益4兆円を充てることになっているが、これには東電HDの企業価値を引き上げて株価上昇を促すことが欠かせない。ハードルの高い計画だが、「絵に描いた餅」になってしまうと国民負担がさらに増える可能性もある。

   経済産業省は2016年末、福島第1原発の廃炉や事故に伴う被災者への賠償、除染などの費用について計21.5兆円とする試算を公表した。東電HDは、このうち約16兆円を負担することになる見込み。今後30年にわたって年間5000億円の費用を捻出する必要がある。再建計画が2014年1月に策定されて以降で初めの本格的な改定に至ったのは、この費用を確保しながら電力完全自由化の競争環境に対応するため、一段の経営効率化、コスト削減を迫られているからだ。

   今回の改定に伴い、従来は2017年3月末としていた「脱国有化」の判断は2019年度以降に先送りする。政府は東電HDの議決権の過半数を保有し「実質国有化」している。廃炉の方法や費用などはなお手探りで、政府の責任のもとで廃炉などの事故対応に当たるためには、実際には今後2~3年で「脱国有化」することなど不可能とみられている。

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