大阪・淀川のシジミから「貝毒」 しびれや呼吸困難「食べるな危険」

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   大阪府の淀川下流や大阪湾で採れたシジミやアサリなどの二枚貝から、国が定める規制値を超える「麻痺性貝毒」が検出された。2017年3月23日から24日にかけて大阪市や大阪府などがウェブサイトで、「安全性が確認されるまで淀川に生息している貝類を採取して食べないでほしい」と呼びかけた。

   大阪市は「淀川に生息するシジミを採取して食べるようなことは絶対にしないでください」と、かなり強い注意喚起を重要なお知らせとして発表しているほどだ。

  • 潮干狩りシーズン貝毒の発生情報に要注意
    潮干狩りシーズン貝毒の発生情報に要注意
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強く加熱しても毒性は残ったまま

   潮干狩りのシーズンになると耳にすることも多い「貝毒」だが、それほど危険なものなのか。

   貝毒の原因は食中毒で一般的なウイルスや菌類ではなく、二枚貝が餌として食べる海水中のプランクトンだ。一部のプランクトンには毒素が含まれており、貝に蓄積されていくことで毒を持つようになる。

   大阪府の発表によると、毒性を持つプランクトンが増加し始めるのは水温が上がる4月ごろ。潮干狩りで貝を採る人が多い時期にあたる。今回のケースでも大阪では、潮干狩りの禁止はもちろん、漁獲された二枚貝が市場に流通しないよう措置がとられている。

   厚生労働省のウェブサイトに掲載されている「自然毒のリスクプロファイル」では、貝毒はその毒の作用によって大きく「麻痺性貝毒」「下痢性貝毒」「記憶喪失性貝毒」「神経性貝毒」の4つに分類されるが、国内で確認されているのは麻痺性と下痢性の2つで記憶喪失性と神経性は国内で確認されていない。

   貝に含まれている毒の量にもよるが、毒性はかなり高く、食後30分程度で発生し下痢性は下痢や腹痛、嘔吐が、麻痺性は舌や唇、顔面、手足のしびれが生じ、最悪の場合呼吸困難などで死亡することもあるという。

   大阪市によると、淀川で確認されたシジミの毒性は1グラム当たり22マウスユニット(MU)だ 1MUは、20グラムのマウスが15分で死亡する毒量で、国の規制値は1グラム当たり4MUなので、大幅に上回っている。人の致死量は体重60キロの人で約3000~2万MUと言われており、シジミだけで死に至ることはなさそうだが、大阪府立環境農林水産総合研究所の研究員はJ-CASTヘルスケアの取材に対し、「貝の種類や個体で毒性は大きく差があるため、『これくらいなら大丈夫』という量はない」と答えた。

   貝毒が厄介なのは、外見や臭いでは判断できず、熱に強いため加熱調理でも無毒化できない点だ。予防するには当該地域の貝を食べないようにするしかなく、症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診する必要がある。

プランクトンの完全除去しか手はないが...

   一度毒を持った貝でも一定期間が過ぎると無毒になるが、この期間も差が大きく、「公的機関の安全宣言や警報解除が出るまで口にしないでほしい」と前出の環境農林水産総合研究所の研究員は話す。

   大阪湾や淀川下流域では、ここ10年ほぼ毎年貝毒の発生が確認されている。以前はそれほど頻繁に貝毒が発生していなかったのに、何か原因があるのか。

「毒性を持つプランクトンが大阪湾で大量に生息しており、定期的な発生のサイクルが確立されてしまっている可能性がありますが、その根本的な原因ははっきりしていません」

   水温の上昇や水質の変化、どこからか大量にプランクトンの幼生が持ち込まれたなど、様々な要因が考えられるが、決定的な原因はまだ判明していないという。プランクトンを減らしたとしても、わずかでも残っていると貝毒が発生する可能性がぬぐえない。

   完全除去はできるか。研究員はこう断言した。

「海という自然環境で特定の種だけを根絶するのは困難です」
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