脱毛遺伝子のうち4つが背の成長を阻害
若年性男性型脱毛症の人は、心臓病や前立腺がんを発症しやすいことがわかっている。そこで、研究チームはこれらの病気に関係する遺伝子と、63個の脱毛症遺伝子との関係を1つ1つ分析していった。すると、「非常に興味深い」発見があった。63個のうち少なくとも4つの遺伝子が「下半身の成長を制御する」ことに関係する遺伝子だった。具体的にはビタミンDの合成や摂取を低くし、カルシウムの吸収を悪くする。骨密度が低くなり、背が伸びなくなる。若年性男性型脱毛症の人は、そうでない人に比べると、統計的に背が小さく体重が軽いことが、これで説明がつくという。
ちなみに、前立腺がんの発症と関係する遺伝子も、脱毛症遺伝子と7個重複していた。しかし、心臓病との関連はみられなかったという。
ただし、ハインバッハ教授は「脱毛症と背の低さ」の関係については、まだ慎重だ。AFP通信の取材にこう語っている。
「今回の研究では、身長の高低と脱毛症の発症リスクの定量化を行なっていませんから、身長との関連を明らかにするまでに至っていません。さらなる研究で、その疑問に答えることができるかもしれません」