具体的な線引きは曖昧
上乗せ規制は「生活環境の悪化を防止」のためといっても、具体的な線引きは曖昧だ。例えば、「学校の周辺は夏休みの7~8月のみ営業可能」と、教育環境に配慮するようなケースのほか、「観光地は繁忙期の9~11月を除き営業禁止」といった旅館業界に配慮したものも考えられ、どこまでが可能かは、国、自治体間で意見が割れる可能性もある。
新聞各紙も、民泊への関心の高まりを映して積極的に報じている。最近の社説では、毎日(3月14日)と日経(2月17日)が取り上げている。毎日は、家主が住みながら空き部屋を旅行者に提供する文字通りのホームステイ形式と、マンションの部屋を大量に確保して大々的に事業として営む事業者を一律に見ることに疑問を呈し、「ふれあいや相互理解を促し、地域と共生する民泊を目指すべきだ」と、人と人の交流を中心に育てるべきだと主張。
一方、日経は「民泊への過度な規制は、地域の住民の資産活用や国際交流の道をせばめるという側面もある。......既存の業界を保護するために新サービスの芽を摘むとしたら、長い目でみて地域の活力をそぐことにつながりかねない」と、上乗せ規制の行き過ぎへの警告に力点を置いている。
2紙の論調の違いに見られるように、民泊を巡っては残された論点も多く、法律が成立しても、慎重な議論を続けることが必要なようだ。