性別適合手術を受け睾丸を摘出したと公表している漫画家・小西真冬さんが、2017年3月3日、自身のツイッターアカウントで、「凄い事を体験した!!wwキンタマ取って初めてジェットコースター的なのに乗ったんだけど、ひゅんってなるものがないと、スルって感じで物足りないぞこれ!!」と書き込んだ。
恐怖や緊張を感じた時に睾丸が縮み上がるような感覚がなくなった、という話だ。
科学的に証明した論文は...
小西さんのツイートに対し、女性フォロワーから「よくわからない感覚」という声が寄せられる一方、男性からは「あれが物理的な現象だとは思っていなかった」という反応が出ていた。
こうした感覚は「玉(睾丸)がヒュンと(縮むような気が)する」ことから、「タマヒュン」というネットスラングでもよく知られている。似たような現象でバラエティー番組由来の「チンさむ」もあるが、こちらは急な落差などで体がわずかに浮いた状態になり、座席に接していた股間のあたりが「フワッ」となる意味で、「タマヒュン」とは異なる。
「タマヒュン」は単なる感覚か、それとも肉体的に本当に起きる現象か。睾丸(精巣)を包んでいる陰嚢は温度によって伸び縮みすることは、男性ならよく知っているだろう。恐怖や緊張が、無意識のうちに精巣の位置へ影響を与える可能性はないのか。インターネット上では「寒さのほかに恐怖や緊張でも陰嚢が縮む、精巣が引き上げられる」との主張が散見された。
しかし、J-CASTヘルスケアが獨協医科大学越谷病院泌尿器科の小堀義友医師に取材すると、「タマヒュンに関わらず、人間の『感情』と精巣の『位置』に関係する報告は聞いたことがありません」との答えが返ってきた。
ふとももを触ると「精巣挙筋」という精巣をぶら下げている筋肉が収縮し、精巣が持ち上がる「精巣挙筋反射」という反射が起きるが、この現象が恐怖などによって引き起こされることを科学的に証明した論文も見たことがないという。
エビデンス(科学的な証拠)がないから「タマヒュン」は物理的に存在しないと断言はできないが、可能性は低そうだ。