地方銀行の統合が止まらない 単独では生き残れない事情 

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オーバーバンキングと「寡占」のジレンマ

   金融庁の森信親長官は、地域に貢献し地元に役立つ地域銀行を標榜し、これを地銀に対する金融検査の根幹としている。その結果、地銀の経営統合は地元重視の守備型となり、いわゆるオーバーバンキング(地域の経済規模に対して金融機関が過剰な状態)の解消に向かって進むことになる。こうした地元同士の地銀による経営統合が「地銀の再編・淘汰の最終局面」と冒頭の地銀役員は見ている。

   しかし、地域経済が縮小する中で、地元地銀同士の経営統合は「思わぬ落とし穴」もある。地域経済に占めるシェア、特に融資のシェアが高く、寡占状態になれば公正取引委員会(公取委)の審査に通らない可能性が出てくるからだ。実際に、九州では長崎県佐世保市に本店を置く親和銀行を傘下に置く、ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)と十八銀行(長崎市)の経営統合では、事前に公取委の審査に引っかかるのではないか、との疑念が出されており、結果的に公取委の審査が長引き、両者は2017年4月に予定していた経営統合を10月1日に延期した。

   最終局面と見られる地銀の経営統合の動きは、今後なお一層、活発化すると予想されるものの、その組み合わせは非常に難しくなって来そうだ。

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