2017年のサクラの季節は、3月21日に東京で開花が宣言されて始まった。多くの人が「花見」を楽しみにしていることだろう。その期待のワクワク感、やっと訪れた満開の"ハレ"の場での高揚感は身体機能の活発化をもたらし、花の香りには癒し効果があるほか、花は美容の進化に貢献しているという。
いよいよ訪れたサクラの季節。花見は楽しむばかりのものじゃない。
江戸時代は庶民の福利厚生だった?
東京都内での満開は4月1日ごろとみられ、それと前後して、東海~九州の西日本各地で開花する見込みだ。サクラ前線はその後、4月初旬から、北陸、東北地方を北上し、5月初めごろに北海道を南からめぐる。
3月末から5月半ばにかけては、国内のどこからかサクラの便りが届けられることになる。
都内のサクラの名所の一つ、東京・王子の飛鳥山公園は、江戸幕府8代将軍、徳川吉宗の施策で整備・造成されたことが知られているが、それは、江戸庶民の行楽の場を提供するためだったという。いわば、福利厚生目的。花見は昔から健康のためのイベントなのだ。
近年では、アルコール類を禁止する有料施設や、かつては昼間からシートを広げた「場所取り」でも知られていた名所で宴会がほぼ禁止の状態になるなど、花見は友人・知人らとのストレス解消的な集まりから、散歩やウオーキングに春ならではのいろどりを加えた、さらに健康を重視したレジャーにもなっているようだ。
計量器などのメーカー、タニタのウェブサイト「からだカルテ」では、きれいな花を見ることでメンタル的に非常に良い効果もたらすという「フラワーセラピー」を紹介。花に囲まれて歩ければ癒しを感じ気分が明るくなり、代謝が高められるのではないかと述べる。
さまざま女性の関心事をテーマにした記事を掲載しているウェブサイト「女性の美学」でも、サクラに関する記事で「フラワーセラピー」に言及。花見の季節に人々がサクラを見にでかけるのは、その香りによる癒し効果を求めるからという。同サイトでは、サクラは癒し効果の香りばかりではなく花に含まれるエキスに高い美容効果があると紹介。製品化も進んでいるという。
がん細胞など病気のもとを次々と攻撃
現代の花見にはさらに、知らず知らずに免疫機能を高める効果もあるという。暖かくなりサクラの開花を楽しみに待ち、いざ花見に出かけて笑顔がほころぶ―。そうした過程でナチュラルキラー(NK)細胞が増えるというのだ。NK細胞はリンパ球の一種。活発化して、われわれの体をがんや感染症にかかりにくくする。
沢井製薬のウェブサイト「サワイ健康推進課」によると、人間が笑ったり楽しい気持ちになるとNK細胞が活性化し「がん細胞やウイルスなどの病気のもとを次々と攻撃するので、免疫力が高まる」という。
東京ではとくに、開花後に気温が低い日が続くため満開まで時間がかかり、例年よりサクラを長く楽しめるという。