WBCの日本代表は準決勝で敗退(日本時間2017年3月22日)したが、国内の盛り上がりは大変なものだった。半面、プロ野球の話題は寂しく、WBC人気を持ち込めるかどうか心配である。
主力が抜けたオープン戦は低調
ロサンゼルスのドジャースタジアムでの準決勝、米国戦は1-2の惜敗。競り合いは日本の望むところだったが、最少得点しか奪えなかったことが敗因となった。
「それでも注目度は高く、ビジネス的には成功」
と、試合を中継したテレビ局の関係者。予選に入る前の強化試合は不安だらけの戦いぶりだったから、ホッとしたことだろう。
一方で、オープン戦で実戦調整中のプロ野球への関心度はどうだったか、というと、正直言って低かった。
そのうえ、各チームとも主力選手を代表チームに出しているから、チーム調整の練習ができない。これは監督がもっとも悩んだ点だった。自分のチームの本当の力をはかるのに苦労する。
たとえば巨人。オープン戦は散々な成績で批判を受けているが、メンバーを見ると、エースの菅野、正捕手の小林、首位打者の坂本が抜けている。彼らがいれば勝てると高橋監督は思いたいだろう。とはいうものの、現実の数字は重たく感じているはずだ。
プロ野球のオープン戦で大きな話題として取り上げられたのは、WBCを辞退した日本ハムの大谷だった。とりわけホームランを打ったときは新聞でもテレビでも注目した。
「もしWBCに参加していたら、それこそプロ野球の話題はまるでなかったことになる」
こんな声はメディアに多い。そうだろうと思う。
WBCとセンバツとが重なる
問題はWBCの人気を、プロ野球がそっくり受け継いでペナントレースに生かせるのかどうか、である。WBCほどの興奮は期待できないだろうけど、注目を引きつける努力はしなければならない。
プロ野球界がしなければならないのは底辺のテコ入れである。少年野球の人口はかなり減っているという。スター選手不足、メディアへの露出度などが理由として挙げられるけれども、これはプロ野球側の政策につながる。
言っておきたいのはWBCの時期に、高校野球の選抜大会が重なったことである。いつもなら全国的に盛り上がる風物詩だったのだが、今年は「春はセンバツから」とはいかなかったような気がする。
WBCは4年に1回開催とはいえ、プロ野球の大事な調整期間、選抜大会の時期に重なるのは考えものだろう。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)