安倍夫人メールの読みどころ 籠池氏妻に送った34通

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   森友学園をめぐる問題では、「ファクス」の次は「メール」をめぐって籠池泰典理事長側と政府との攻防が展開されることになりそうだ。

   安倍晋三首相の夫人、昭恵氏が森友学園側に「口止めとも取れるメール」を送ったと主張したことに対して、自民党の西田昌司参院議員が両者のメールのやり取りを公開。政府は、これが「客観的な、ひとつの証拠」になるとして、反撃に転じたい考えだ。

  • 公表されたメールのやり取り。昭恵氏は「講演の謝礼をいただいた記憶がない」などと送信している
    公表されたメールのやり取り。昭恵氏は「講演の謝礼をいただいた記憶がない」などと送信している
  • 公表されたメールのやり取り。昭恵氏は「講演の謝礼をいただいた記憶がない」などと送信している

安倍首相「きわめて、もう一度申し上げますが、きわめて遺憾」

   籠池泰典理事長は2017年3月23日の参院予算委員会で行われた証人喚問で、妻の諄子氏に対して昭恵氏が

「ご夫妻が今、大変なことは想像がつきますが、主人にとっても大変なことに巻き込まれたということも理解いただきたいと思います」
「私が関わったということは、裏で何かあったのでは、と疑われないように」

といった内容の「口止めとも取れるメール」を送ったと主張し、

「どうしてなのか割り切れない思い」

などと安倍夫妻に対する恨み節をこぼしていた。

   昭恵氏をめぐっては、森友学園をめぐる事件が発覚してからも学園側とメールのやり取りを続けるなど、親密な関係を疑問視する声も多い。

   安倍首相は翌24日の参院予算委員会で、

「私の妻も、こうした約束(学園が運営する小学校への名誉校長就任)を引き受けるにおいては慎重でなければならなかったという趣旨のことは申していたが、しかし、メールの一部を使って『メールで口止めをした』と籠池氏がおっしゃっていることはきわめて、もう一度申し上げますが、きわめて遺憾」

と籠池氏側を批判。籠池氏が「口止めとも取れるメール」だと主張したメールについては、

「李下に冠を正さずという趣旨で返信したものであるということは明らかであり、悪意に満ちたものであるということは申し上げておきたい」

と反論した。

メールは昭恵氏が34通、諄子氏が49通送信

   西川議員が公開したのは、16年6月4日から17年3月16日にかけて行われたやり取り。昭恵氏が34通、諄子氏が49通送信した。そのうち、安倍首相が言及しているとみられるメールのやり取りは、17年2月25日に行われた。

   諄子氏の

「幼稚園に国会議員が来て自民党を守るため昭恵さんの写真を外してほしいといわれました 要は私達わからないものが政治に首を突っ込むといけないんだと勉強いたしました」

という内容のメールに対して、昭恵夫人が

「私もよくわかりませんが、色々気を付けなくてはいけないことがあります。私が関わったということは、裏で何かがあるのではと疑われないように、細心の注意を払わなくてはならないということだったのでしょう。まず非公開だっただった(原文ママ)ことが疑われることになりました。そしてあまりにも熱い思いで突き進まれたために、色々なところに歪みもあったのではないかと考えます」
「ご夫妻が今、大変なことは想像がつきますが、主人にとっても大変なことに巻き込まれたということもご理解頂きたいと思います。しかし、園長の熱い思いは本物であると思いたいと思っています。全ては必然です」

などと返信していた。

   籠池氏が主張している安倍晋三首相からの寄付100万円や講演料10万円に関する記載もあった。2月28日には、次のようなやり取りがあった。

「私は講演の謝礼を頂いた記憶がなく、いただいていたのなら教えて頂けますでしょうか。申し訳ありません」(昭恵夫人)
「あまりにひどい なぜその情報はどなたからですか 全国の方々から励ましのメールがどっさり届き励まされます 絶対おかしい!」(諄子氏)
「報道をされたようなので、確認です」(昭恵夫人)
「えーひどい ひどすぎます 応援メールをみていただきたいぐらいです」(諄子氏)

   3月16日には、昭恵氏が

「100万円の記憶がないのですが」

と送信したが、公表された記録を見る限りでは、諄子氏からの返信はない。なお、3月17日の衆院外務委員会では、昭恵氏は「幸運を祈ります」という内容のメールを送っていたとされたが、今回公表されたやり取りでは、「祈ります」だったことも明らかになった。

菅官房長官「ひとつの物的証拠」

   昭恵夫人は3月23日夜、フェイスブックで

「私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません」

と籠池氏に反論するコメントを発表している。メールのやり取りの公開は、こういった主張を裏付ける狙いがあるとみられる。政府としてもやり取りの記録は重要な反論材料だと考えているようだ。3月24日夕方に行われた菅義偉官房長官の記者会見では、

「官邸の意向も働く形での公開なのか」

という記者の質問に対して、菅氏は

「政府としては、やはりメールを公開することによって、ひとつの物的証拠にもなる。特に講演料だとか口止めだとか、色々言っている。あとは寄付金、寄付ですか?そういう中で、あくまでも客観的な、ひとつの証拠になるだろうということで、公開を行うことを先方の了解をいただいて決断した」

と述べた。

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