福岡市内の回転すしチェーン店で従業員更衣室にビデオカメラが設置され、女性店員らが盗撮の被害に遭っていたことが分かった。
朝日新聞の報道によると、従業員を守るべき立場の店長が盗撮した疑いが持たれているといい、ネット上では、「これじゃあ安心して仕事できない」との声が上がっている。
店長については、すでに会社が処分
「欲求を満たすためだった」。朝日新聞の2017年3月24日付ウェブ版記事によると、店長は、アルバイトの女子高生らの保護者に対し、こう盗撮を認めたという。
朝日が店関係者などに取材したところでは、女性店員の1人が1月中旬、更衣室のロッカーの上に乗った段ボール箱の底の穴から大きなレンズがのぞいているのに気づいた。その数日後には、店長が更衣室の前でこの段ボール箱を抱えているのをアルバイトの1人が目撃し、別のアルバイトに伝えた。連絡を受けたこのアルバイトは、更衣室で着替えた後に段ボール箱をロッカーから降ろし、中を見るとビデオカメラが仕掛けられていた。
カメラを回収して調べたところ、従業員が着替える様子が録画されていた。従業員が更衣室で着替えているときに、店長がパソコンでその映像を見ていた形跡もあるらしい。福岡県警も捜査に乗り出し、店長は、任意の事情聴取に対し、盗撮を認め、「数か月前から続けていた」とも供述しているという。県警では、軽犯罪法違反(のぞき見)の疑いで店長を書類送検する方針だと朝日は報じている。
盗撮のツケは大きかったようだ。運営会社の顧問弁護士は、J-CASTニュースの3月24日の取材に対し、警察が捜査中で個人情報は詳しく明かせないとしたものの、店長については、すでに会社が処分したことを明らかにした。
軽犯罪法上は、1万円未満の罰金などに
このすし店は、店長の盗撮が分かった後の1月下旬から、店舗を一時休業しており、3月24日現在も休業状態だ。顧問弁護士は、その責任を取ってもらうとしており、損賠賠償などの交渉もこれから店長と行うとしている。事件の事実関係は、朝日の記事通りだと答えた。
一方、盗撮の被害者にとっては、その痛みは相当大きいとみられる。しかし、軽犯罪法上は、この事件がもし立件されても、1万円未満の罰金刑などにしか問われないことになる。
確かに、福岡県迷惑行為防止条例では、その第6条で盗撮を禁じ、6か月以下の懲役や50万円以下の罰金という比較的重い刑罰を科している。
しかし、条例の適用対象は、公衆の目に触れる「公共の場所」に限られている。朝日の記事によると、すし店の従業員更衣室内といった私的な場所では、条例違反を適用するのは難しいと県警は判断したという。
これに対し、ニュースのコメント欄などでは、「勤務先の更衣室も安心出来ない」「ホントどこで見られてるか分からんな」「早く法律で禁止してください」といった不安の声が上がっていた。