仮に上場廃止になっても...
とはいえ、東芝は決算発表の再延期の原因である米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の損失が2017年4月11日までに確定しないと、上場廃止となる。WHに、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用を模索しているが、思うように進んでいないようで、決着までは二転三転しそうな気配だ。そんな東芝に投資する魅力が残っているのだろうか――。
エフィッシモ・キャピタル・マネージメントによる東芝株の大量保有に、ある個人投資家は、「素人は怖くて手が出ませんが、これまでの株価の推移をみると、190円から200円が底値のようにみえます。もちろん、上場維持が前提でしょうが、190円を10円ほど割り込んだあたりで買いを入れたのではないでしょうか」と話す。
インターネットの掲示板などには、
「東芝逝ったなw これで公的資金での救済はやりにくくなった」
「保有目的は「純投資」... いつも思うが、これより信じれない言葉ってそうそうないよな」
「JALみたいな再建方法がとられたらどうすんだろ」
といった声や、
「ハゲタカ登場か。これで面白くなったな」
「税金投入おいしいです」
「もともと東芝は誰も救済する話なかっただろ。東芝メモリが2兆で売れれば、その8%にあたる1600億円分の権利を取れるんだもんな。博打としては妙味がある」
「半導体を売るのに反対して、持ってる株式の買取請求をすれば、メモリ売却益を先取りすることができる。考えたな」
などと、投資ファンドのそろばん勘定を推察している。
一方、前出のSBI証券の藤原誠之氏は、「上場廃止も視野に入れていると思いますよ」という。「現在、東芝はメモリー事業を含め、切り売りして資金を調達して(事業体を)残そうとしているのですから、上場廃止になったとしても、JAL(日本航空)株のように紙屑になる心配はありません。むしろメモリーやエレベータなど、会社の価値は株価よりも高いかもしれない。彼らは、そう判断したのでしょう。仮に上場廃止になれば、他の投資家は売りに出るでしょうから、それを買い進める可能性もあると思います」と説明。
「純投資として売却しても、たとえばホワイトナイト(産業革新機構)が出てきて売っても、儲かるかもしれない。それに再上場すれば、大儲けですよ」