東芝株、なぜ上がった? 旧村上F系の動きとの関係

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   経営難に陥っている東芝の株式が2017年3月24日、急騰した。一時、前日比20円70銭(9.98%)高の228円まで上昇。終値でも15円70銭(7.57%)高の223円で取引を終えた。

   東芝株は米国の原子力子会社ウエスチングハウス(WH)での損失懸念が発覚した2016年12月に、400円台から200円台に急落。年明け以降も下落基調のなか、2度にわたる決算発表の延期や、半導体事業の売却や米原子力事業の見直しをめぐる報道を受けて乱高下している。

  • 東芝株が急騰!
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「東芝メモリ2018年上場」報道も後押し

   現在、監理銘柄の東芝株が買われた背景には、旧村上ファンド(F)の出身者が設立したシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントの存在がある。

   エフィッシモは、かつて村上世彰代表(当時)が率いて「物言う株主(アクティビスト)」として知られた旧村上ファンドの出身者が2006年6月に設立。村上ファンドの手法を踏襲する、積極的な株主提案で投資先企業に株主還元の強化など経営改革を求めるファンドとして知られている。

   近畿車両や大阪製鉄、日東紡績、リコーの株式なども大量に保有。2016年6月には海運大手の川崎汽船株を買い増し。保有比率を35.37%にまで引き上げ、経営陣が定款変更や会社の解散・合併など重要事項について株主総会で特別決議を求めた場合に単独で阻止することができる権利を得たことで話題になった。

   エフィッシモが2017年3月23日付で関東財務局に提出した大量保有報告書によると、東芝の発行済み株式(3月15日時点)の8.14%に相当する3億4504万9000株を保有した。保有目的は「純投資」としている。

   エフィッシモが東芝の筆頭株主に浮上した可能性が高まったことが、個人投資家らの思惑買いを誘ったとみられ、東芝株は24日朝から買い気配で始まり、9時40分には前日比20円70銭(9.98%)高の228円まで上昇した。東芝株は2日続伸。228円台を付けたのは、2月24日以来だ。

   東芝株急騰の要因を、SBI証券投資調査部のシニアマーケットアナリスト、藤原誠之氏は、「エフィッシモが筆頭株主になったこともありますが、23日の日刊工業新聞の報道も大きかったですね」と話す。

   3月23日付の日刊工業新聞は、「東芝が分社して設立する半導体メモリーの新会社『東芝メモリ』が、早ければ2018年度の株式上場を前提に売却手続きを進めていることが明らかになった」と報じた。

   「上場となれば、かなり大きなファイナンスになりますから、主幹事をとった証券会社は潤います。この報道で、東芝へのネガティブなコメントが減りますよ」と、藤本氏はみている。

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