安倍晋三首相の昭恵夫人付きの官僚が森友学園の籠池泰典理事長宛てにファクスを送っていた問題で、2017年3月24日付の朝刊各紙(東京最終版)では、官僚の行動に対する評価が分かれた。
朝日新聞は官僚が土地問題に「関与」したと表現する一方で、産経新聞は「希望添えず」というファクスの文面を見出しに取った。それ以外の大手紙も「照会」「相談」などと表現が分かれている。
政府と籠池氏で食い違う言い分
ファクスは、「内閣総理大臣夫人付」の谷査恵子氏が2015年11月に送信。その内容が17年3月23日、政府、籠池氏の双方から公表された。籠池氏側に「財務省本省に問い合わせ」た結果として「現状ではご希望に沿うことはできない」などと回答する内容だ。「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」というただし書きもある。
籠池氏は17年3月23日の証人喚問で、昭恵氏の携帯電話に借地契約の契約を長くしてもらおうと留守電メッセージを残した後にファクスが送られてきたと主張しているが、政府は、ファクスは籠池氏側が官僚に送った陳情書に対する返答だと説明。言い分が食い違っている。
翌3月24日付の朝刊紙面では、朝日新聞が1面トップに
「昭恵夫人付職員が関与」
の主見出しを掲げ、脇見出しで「森友土地問題 財務省に照会」と説明。記事本文では
「ファクスは国有地値引きなど売買手続きに直結する内容ではないが、野党は夫人付職員の関与を追及する構えを見せる」
と説明し、社説の冒頭では、
「安倍首相の妻の昭恵氏が、国有地払い下げに関与したことを疑わせる重大な証言だ。関与を全否定してきた首相の説明とも食い違う。解明のため昭恵氏を国会に招致する必要がある」
と主張した。
毎日新聞は、1面トップに
「首相夫人付き職員が照会」
の見出しで、社説では言い分が食い違っていることを理由に
「籠池氏の証言が事実かどうか、昭恵氏本人の口から説明が聞きたい。記者会見などをしないのなら国会への招致が必要となる」
とした。