出しっぱなしにしていたクッキーをかじったら、口の中がしびれるような刺激が走った――。
模型製作が趣味だという人物のツイートによると、模型製作や塗装に使う部屋に2日間置いていたチョコクッキーを食べたところ、こんな事態になったそうだ。まるで毒物混入を思わせる恐ろしさだが、真相はいかに。
クッキーやチップスには「細かい穴」がある
この人物の2017年3月22日付のツイートによると、チョコクッキーにはテカリがあり、捨てようと思いつつ口にしてしまったという。その後臭いを嗅いでみると「ラッカー溶剤ボトルを直接嗅いでるような、それより酷い臭いがした」。その後もしばらく鼻の奥や舌に違和感があったようだ。
本人は原因について、「2日ほど置いていただけでクッキーの細かい穴が活性炭の様な役割をしたらしく、空気中のシンナーを吸収してシンナークッキーになっていた」と考えている。塗装をしているすぐそばにクッキーを置いており、そもそもシンナーの近くにあったようだ。ただ、クッキー以外にも様々なものがあったはずだ。クッキーだけが活性炭のようにシンナーを吸着することはあり得るのか。
匿名でJ-CASTヘルスケアの取材に応じた食品メーカーの担当者は「そうした事態が発生する環境は特殊だが、十分あり得る」と話す。
「活性炭と食品はまったくの別物なので、活性炭と同等の吸着能(気体や液体の中に含まれる物質を吸い寄せる能力)はありませんが、クッキーやチップスにも吸着が起きやすい細かな穴があり、そこにシンナーなどが吸着されることはあるでしょう」
ただし、一般的な家庭の台所に出しっぱなしにしされていたクッキーがシンナーまみれになるわけではない。今回のように模型作りが趣味でシンナーなどを使用する機会が多いといった特殊な条件下で発生する。
さらに、クッキーのような特定の食品ならではの理由もあると指摘する。
「シンナーに含まれる『トルエン』や防虫剤に使用される『ジクロロベンゼン』は、水に溶けにくく脂分に溶けやすい成分です。そのため、脂分が多いクッキーやチップスに吸着しやすい傾向もあるようです」
海外で購入したクッキーの事例で、包装容器の印刷に使われたインクにトルエンが含まれており、クッキーを食べようとしたところシンナー臭があったという事例も確認されている。これは、東京都福祉保健局が食品安全情報サイト「食品衛生の窓」で2010年2月13日に公開した「化学物質の食品への移行」という資料にも記載されていた。