全体の93%は書類チェックだけ。それも偽装されると...
では、サンプル検査なしの残りの約93%は、どうやって「食の安全」をチェックするのだろうか。
飯村アナ「書類チェックだけです。まず、輸出する国の食品会社の報告書があります。添加物や農薬は何を使ったかなどです。それから、輸出国の政府の衛生証明書です。安全な生鮮食品であることを証明します」
書類チェックだけで大丈夫なのだろうか。検疫体制に詳しい東京大学大学院の鈴木宣弘教授がこうコメントした。
鈴木教授「不十分ですが、すべて検査するには人員が足りません」
MCの坪井直樹アナ「今回のようにブラジル政府自体が偽装書類を作っていた場合は、どうやって書類でチェックするのですか」
飯村アナ「厚生労働省の検疫担当者に聞くと、『ブラジルのように政府が偽装をしていたら、判別することなどできません』ということです」
日本政府は、ブラジルの21社からの輸入を一時停止し、さらに21社以外のブラジル産鶏肉もすべて「目視チェック」(目で見て安全を確認)の対象とする対策をとった。しかし、問題になった発がん性物質の検査はどうするのか。
飯村アナ「実はまだ、その発がん性物質が何という物質なのか明らかになっていないのです。だから、厚生労働省の検疫担当者によると、『検査のしようがない。しかし、わかれば検査対象に加える可能性がある』とのことでした」
もう1つ心配なことがある。問題のブラジル産鶏肉が、加工食品として日本国内に入っている可能性が高いというのだ。鈴木宣弘教授がこう解説した。
鈴木教授「ブラジル産鶏肉がほかの国に輸出され、そこで加工肉になって日本に入ってきた場合、ブラジル産かどうかわからなくなり、検疫でチェックするのが難しくなります」
こういうことだ。たとえば、ブラジルから鶏肉がA国に輸出される。A国の食品会社のB社がそれを加工肉にし、日本に輸出する。その時のB社の報告書には、「原料」は「鶏肉」とだけ記載され、原産国は書かなくてもいい。そして、「加工肉」の原産国は「A国」になるわけだ。
松尾アナ「(ためいきをつきながら)はあ~、そうなんですか」
飯村アナ「良心的な会社だと、加工肉の原産地までホームページに記すところもありますから、私たちはそれを調べて自衛するほかありません」