帰宅タイムカード押した後のサービス残業
マスコミ報道でヤマトは「未払い残業代があれば社員に支払う」と表明しているが、未払い残業代の支払いには2年の時効がある。実態調査は所属長が社員に一人ずつ面接しているが、ある現役ドライバーは「過去2年間にサービス残業があれば、裏づけの証拠を示してほしいと言われた」という。残業代の支払いは過去2年分に限るほか、本当にサービス残業があったかどうかの証明は、社員側に証拠の提出を求めているようだ。
ヤマトのベテラン社員によると、今回のアマゾンのネット通販の拡大とは関係なく、ヤマトでは少なくとも二十数年前からサービス残業が横行していた。「帰宅時間になるとタイムカードを押すが、その後に残って仕事をしたり、休日に出勤してもタイムカードなど押さず、休んだことにして仕事をしたりすることもある」という。「会社には規定時間だけ働き、きちんと休んだことにしなくてはいけないが、それでは仕事が処理しきれないため、サービス残業はやむを得ない」という。
サービス残業をめぐるヤマトの闇は深く、マスコミ報道のように「サービス残業で未払い賃金があれば支払う」という単純な構図とはならないようだ。
ヤマトの労使交渉は、安倍政権が重要課題に掲げ、今春闘の主要テーマとなった「働き方改革」の一環として注目されていたが、社員の間では失望感が広がっている。