京都市動物園の1羽のペンギンが、にわかにインターネット上で共感を集めている。
「ナンテン」という名前のこのペンギン、十数羽が飼育されている中で、「群れになじんでいない」上に「モテない」という。ツイッターやネット掲示板で話題に取り上げられると、「同じぼっち同士仲良くなれそう」と慈愛にも似た声が続出した。
「壁に向かって立っていることが多い」
ツイッターで2017年3月21日、
「京都(市)動物園のペンギンのナンテンに勝手に共感してる」
という言葉とともに投稿された写真は、他のペンギンから離れ、壁の方を向いて佇むナンテンの姿が収められていた。飼育エリアに掲示された紹介文の写真も投稿しており、ナンテンは07年2月26日生まれ、10年1月27日に京都市動物園に来園したメスのフンボルトペンギンで、「来園して以来、なかなか群れになじんでいない。壁に向かって立っていることが多い」という。
こうした内容がネット掲示板2ちゃんねるで取り上げられると、ひとりぼっちなナンテンの姿に共感する反応が数多く出た。
「俺かな」
「大学生の頃のワイかな」
「同じぼっち同士仲良くなれそう」
「親近感わいた」
さらに、16年4月13日付の京都市動物園の「飼育員ブログ」ではナンテンの特徴をより詳しく描写している。「このナンテン、変わったところがたくさんあります」として「餌を食べるのが下手」「常に1羽でいます」といった説明があるほか、
「全くモテない」
とも書かれていた。これには「難点だらけじゃねえか」「かなしい」と同情を寄せる声も目立った。
来園から現在まで、ペアになったことがない
J-CASTニュースが17年3月23日に同動物園に取材したところ、来園当時のナンテンを飼育していた経験を持ち、現在広報担当の山下直樹さんが答えた。基本的に集団生活をするフンボルトペンギンは、徐々にオスメスでペアをつくるようになり、繁殖期を中心にペア同士で一緒にいる時間が長くなるというが、
「ナンテンは2010年に来園してから現在までペアになったことがありません。通常も1羽でいることが多いようです」
と話した。京都市動物園では現在13羽のフンボルトペンギンを同じエリア内で飼育しているという。
なぜペアになれずにいるのか。山下さんは「ナンテンは天王寺動物園から来園したペンギンで、そうやって他の園からやってくると新しい環境になかなかなじめない場合があります」と話す。また「個々の相性もありますので、群れの中でペアをつくれないペンギンは時々います」と加えていた。
インターネット上で「群れを離れて1羽でいる」「モテない」というナンテンに反響が相次いでいる点について山下さんは、「ブログを書いた当時の飼育員は、寂しそうだということで紹介したようです。ペンギンの個性に対して関心を持っていただけるのは、園としてとてもありがたく思っています」と話していた。