豊洲新市場の問題にこだわる小池百合子東京都知事に対し、経済評論家の勝間和代さん(48)がテレビで批判的にコメントして、ネット上で反響を呼んでいる。勝間さんは、小池知事は都民のためにならないことをしているというのだ。
「安全と安心がこんがらがっている」「小池さんは速やかに豊洲に移転すべきだ」。2017年3月20日の都議会の百条委員会では、石原慎太郎元都知事(84)が証人喚問され、小池知事批判を繰り返した。
「安全」より「安心」
石原氏は、豊洲については、専門家たちが科学的に安全だと言っているとし、地上では地下水を使うわけではなく水道水を使えばいいと指摘した。また、地下水をポンプでくみ上げ、ろ過して海に捨てればいいとも話した。
一方、小池知事も、14日の都議会で、豊洲はコンクリートで土壌が覆われ、土壌汚染対策法上も安全だと認めている。また、都の専門家会議も19日、座長が「科学的、法的には安全」と評価している。
しかし、小池知事は、消費者の信頼は得られておらず安心とは言えない、との認識を変えないままだ。
これに対し、識者からは、小池知事の認識への異論が出ている。
勝間和代さんは、TOKYO MXテレビの番組「バラいろダンディ」への21日の出演で、「この問題を扱うことが都民のためにならないと思っているんですよ。結局、健康問題にそこまで影響がない問題に対して、これだけ多額の時間とお金を使う必要があるのか」と小池知事に疑問を呈した。そのうえで、「もっとちょっと都民のためになることをやってほしい」「小池さん、いい加減にしてほしいんですよ、この問題に対して関わるのは」と訴えた。
豊洲移転の延期に当初から異論を唱えている元大阪市長の橋下徹さん(47)も、3月に入ってツイッター上で小池知事への批判を続けている。
「小池ファースト」
橋下氏は、ツイートの中で、「地下水の環境基準適合は市場開設のための法律上の条件ではない」として、「小池さんは専門家会議とじっくり議論もせずに移転延期判断をした」と批判した。さらに、「小池さんの意思決定こそ100条委員会で追及すべきテーマだ」とさえ揶揄している。
報道によると、小池知事が豊洲問題を7月2日投開票の都議選の争点にすると明かしていることから、都議会などからは、移転の判断を都議選以降に先送りするのではないかとの憶測も出ている。
小池知事と対決姿勢を示す自民党は、3月21日の都連会合で、下村博文会長が豊洲問題について「小池氏が都議選の政争の具にし、自民党にダメージを与える戦略ならば邪道だ」と述べた。小池知事の地域政党「都民ファーストの会」は公明党と選挙協力して過半数獲得を目指しているが、下村氏は、「イエスマンばかり集めたら、都政が失墜する」とも指摘した。
一方、小池知事については、依然として人気が高く、産経新聞社とFNNの合同世論調査で、3月に入っても支持率が80%ほどに達していると報じられている。小池知事は、22日の講演で、「自民党都連には、イエスマンどころかノーマンもいない」と皮肉り、人気をバックに対決姿勢を露わにした。
ネット掲示板などを見ると、「小池が騒ぎを起こしたわけではない」「小池は石原の尻拭いをしてるだけ」などと小池知事を擁護する声が依然としてある。しかし、移転延期を決めたときとは違い、小池知事への逆風も出てきた。「豊洲を政争の具にするのはダメ」「見てきてわかったけど、小池ファーストなんだよな」「そろそろ問題提起じゃなくて具体的な結果が欲しい」といった厳しい意見も書き込まれている。