男性オタクが激怒する「バブみ」誤用問題 腐女子が使ってはダメなのか

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   「意味が違う!」「オタクの言葉を、腐女子に奪われた!」、そんな悲鳴がネット上に響いた。「バブみ」というオタク用語を指している。

   本来は男性オタクが年下の美少女キャラに「母性」を感じる時に用いられてきた。ところがあるテレビ番組で、ボーイズラブ好きの「腐女子」と思われる女性が多数登場し、デフォルメされて可愛く作られた男性キャラを見ると、「自分の母性」がくすぐられる、とし、それが「バブみ」だと証言したからだ。

  • 「バブみ」とは(写真はピクシブ百科事典)
    「バブみ」とは(写真はピクシブ百科事典)
  • 「バブみ」とは(写真はピクシブ百科事典)

男性キャラか、女性キャラか

   「バブみ」を取り上げたのは2017年3月20日放送のフジテレビ系「創刊!流行語大賞」。この番組はあらゆる世界・業界で誕生している流行語をピックアップし、知られざる世界を垣間見ようというもので、今回は東京・池袋に集う「アニメ女子の流行語」が紹介された際に「バブみ」が出てきた。

   登場した女性は口々に、もともとイケメンの男性キャラが可愛くデフォルメされているものに「萌える」とし、ある女性は、ある男性キャラのデフォルメされたマスコットを撫でまわしながら、

「カワイイね、よしよしカワイイね、バブちゃんよしよし、バブみある。(キャラの)親的な感じで思っている」

などと語った。番組では「バブみ」について、

「イケメンのキャラがあまりにもカワイくて、デフォルメされた時などに、強い母性を感じる事」

と解説した。

「母性」を感じるという意味では共通だが...

   これに驚いたのは男性のオタクたちだ。ネットの掲示板には、

「言葉は正しく使え」
「女って何で男の間で流行ってるものパクるんかねぇ」
「『バブみ』が腐女子のものになって悲しい... 」

などといった怒りの声が挙がった。

   実際はどんな意味なのか。ネット辞典の「ピクシブ百科事典」では、

「年下の女性へ求める母性、あるいは年下の女性から感じる母性」

と書かれている。語源は赤ちゃんの声の「バブー」に、「旨み」「凄み」などの「み」がついた。自分が幼い赤ちゃんとしてその包容や庇護を受け甘えたい、という感情があり、「ロリコン」趣味の人もいるが、基本的には思いを寄せたキャラがたまたま少女だった、ということだそうだ。また、男性キャラにおしゃぶりを咥えさせるなどの「赤ちゃんプレイ」のようなものを指して「バブみ」と呼ぶことも一部であったが、現時点では「誤用」と書かれている。「アニヲタWiki(仮)」にも同様の事が書かれていて、「バブみ」が高いとされるキャラクターとして、「艦隊これくしょん」の「雷」、「OVERMANキングゲイナー」の「アナ・メダイユ」、「To Heart2」の「向坂環」が紹介されている。

これまでの意味や使われ方が変化している

   それではフジテレビに批判が出ているのかといえばそうでもない。というのも、こうしたネット上で誕生した流行語は時が経てば解釈の範囲が拡大したり、違う意味でも利用されることが多々あるからだ。

   2014年に「流行語大賞」にノミネートされた「壁ドン」。男性が女性を壁際に追い詰めて壁をドンと手で突く行為が「萌える」という解釈だが、ネットで誕生した時は、アパートなどで隣がうるさかった時に壁をドンと叩いて抗議する、という意味だった。だからこの新解釈に、

「世間で今流行ってる壁ドンの意味と俺が知ってる壁ドンの意味が違う...」

といった戸惑いの声が出ていた。「女にパクられた」という批判もあったが、大きな騒ぎにはならなかった。さらに今回の「バブみ」の場合は、元の意味があまりにもキモいため、テレビで放送できるわけがない、という意見も多く、

「女性が母性を持つって事なら自然だしこっちの意味でいいわ」

といった擁護の声もある。

   J-CASTニュースが17年3月22日にフジテレビに対し、「バブみ」をなぜあのように解釈して放送したのか問い合わせた。同局広報によれば、「バブみ」がもともとどういう使われ方をしていたのかは当然知っていた。しかしロケに出たところ、女性たちは放送にあったような解釈で使っていた。

「オンエアで『彼女たちが言うバブみとは』と流しましたが、これまでのバブみの意味や使われ方が変化していることが取材で分かり、それを伝えたということです」

と同局広報は説明している。

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