印象派の展示会を告知するチラシに書かれた斬新なキャッチコピーに注目が集まっている。そのコピーは「絵画史上、最強の美少女。」――
一見、ごく普通のキャッチコピーに見えるが「美少女」と書かれた部分をよく見ると、「センター」というルビが振られている。アイドルグループでは、グループの中心に立つ人物をセンターと呼ぶが、印象派絵画にアイドルを連想させる「センター」という組み合わせが意外感をもって受け止められているのだ。このキャッチコピーには一体どんな意図があるのか―。
「センスすき」「俗っぽくて正直嫌」
話題になっているのは、2018年2月14日~5月7日まで、国立新美術館で開催される「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を告知するチラシだ。展示では、スイスの大事業家、エミール=ゲオルク・ビュールレ(1890-1956年)が蒐集したルノワールやモネなどの印象派の作品約60点が展示される予定になっている。
その告知チラシに起用されているのは、ルノワールの作品「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」。柔らかい光の中、上品に佇む少女の白い肌や、澄んだ瞳、手入れの行き届いた長い髪などを鮮やかに描いたもので、ルノワールの作品の中でも傑作との呼び声も高い。
今回のチラシでは、その「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」に「絵画史上、最強の美少女(センター)。」という文字が書かれている。この「美少女」と「センター」という2つの言葉を繋げるものとして考えられるのが、アイドルグループの存在。AKB48をはじめとしたアイドルグループでは、メンバーの真ん中に立つ存在を「センター」と呼んでいるためだ。
「美少女がセンターとは限らない」
2017年3月7日に展示会のチラシや公式サイトが公開されると、印象派の絵画にアイドルを連想させるキャッチコピーという斬新な組み合わせがツイッターなどで注目を集め、
「美少女にセンターってルビふるセンスすき」
「絵画史上、最強の美少女(センター)。は上手い文句だな。」
「俗っぽくて正直嫌」
「コピーには、少し抵抗あるけど...有名だから仕方ないのかなぁ」
など、賛否両論が寄せられた。
中には、様々なアイドルグループを引き合いに「美少女がセンターとは限らない」といった声も複数あがった。AKB48などは、そのポジションを取り合う「センター争い」といった言葉がしばしば聞かれるが、センターに立つための基準は「外見」だけではないということもあるようだ。
なぜ、印象派展示会の告知チラシがアイドルを連想させるものになったのか―。J-CASTニュースの取材に展覧会の主催者は、チラシに起用した『可愛いイレーヌ』について、「絵画史上もっとも印象的な少女像のひとつで、展覧会の魅力を伝えるのに効果的だと考えた」としたうえで、「美少女」に「センター」というルビを振った意図については、
「アイドルを形容して使われている『センター』という言葉をあえて採用することにより、いわゆる美術ファン以外の皆様にも親近感を持っていただけるのではないかと考えております」
と説明している。