「胸の重さ調べた?」「インプラントは?」と批判続出
この論文を見ると、おおむねサイトで紹介されたとおりの内容だ。さらに彼女はこの予備的な研究の後に、同僚の研究者オリビエ・ルーセルさんと、18~30歳の女性50人を対象にした3年間にわたる「ノーブラ実験」を行なっていた。そして、「被験者たちは乳房がよりよい美しさを保ち、快適な3年間を送った」「ノーブラでも胸が落下しないことを示された」「ブラジャーは医学的、生理学的、解剖学的にも乳房を重力から守っていない」と結論づけた。
なぜノーブラだと胸が垂れないのかについては、ブラジャーの圧迫から解放されることによって、乳房の硬さを維持する筋肉と乳房を囲む筋肉が発達するからだと説明している。
ただし、この論文には多くのレビュー(他の研究者の意見)が寄せられており、大半が次のような疑問を投げかけていた。
「33人や50人という極めて少人数の実験であり、科学的に立証されたといえない」
「18~25歳(2回目は18~30歳)という非常に若い世代に限定している。フランスの全女性を代表した検証とはいえない」
「30歳以上の女性はどうなのか」
「被験者の女性が乳房インプラントをしているかどうか調べていないのは、非科学的だ」
「乳房の重量の違い(A~Dカップなど)について変化を考察していないのは不十分だ」
などなど。要するに科学的に立証された論文ではないという批判だ。
もう1つ、ネット上でよく引用される「研究」は、レティシア・ピエロさんと同じフランシュ=コンテ大学で運動科学を専門にしている、ジャン・デニス・ルイロン教授のものだ。実は、この教授、先に紹介したレティシア・ピエロさんの2度目の研究論文の共著者でもある。同じ論文をもとにしたはずだが、さまざまなサイトでは微妙に研究内容が違って伝わっている。こうである。
「ルイロン教授は、18歳から35歳までの女性を調査したところ、1年間でバストトップの位置が7ミリもアップしたというのです。逆に言えば、ブラジャーを着けることで、胸が垂れたということを意味しています。その理由は、ブラジャーを着けると、胸を支える組織が発達しなくなるからだとか。運動をしないと筋肉が発達しないとのと同じなんですね」