森友学園の籠池泰典理事長に対する証人喚問が2017年3月23日に迫る中、野党議員からは籠池氏の主張の内容について評価を避けようとする声が相次いでいる。
とりわけ、安倍晋三首相が籠池氏側に100万円の寄付をした際の書類だと籠池氏が主張する、修正テープで文言が修正された振替用紙については、「いかにもという、微妙なもの」という声も出ている。
民進・福山氏「絶対誤解しないでくださいね?」
籠池氏は3月16日、参院予算委員会の調査チームや野党議員が行ったヒヤリングに対して、安倍首相から昭恵夫人を通じて100万円の寄付を受け取ったと主張。安倍首相側は寄付の事実を全面的に否定している。
予算委員会のメンバーとしてヒヤリングに参加した民進党の福山哲郎参院議員は、3月17日の会見で
「誤解しないでくださいね。私は、籠池さんが100万円を昭恵夫人からもらったことが事実だと言っているんじゃないですよ。絶対誤解しないでくださいね?籠池さんが100万円を昭恵夫人からもらったということを、参議院の視察のメンバーの前で語った、ということが事実ですからね。それに対しての真偽は、私は一切、さっきから何も言っていませんので」
と語気を強め、発言内容の真偽には言及していないことを強調した。
赤旗「誤報」には「こういうこともあるので」
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の籠池氏をめぐる「誤報」も、警戒感を強める要因になっている可能性がある。この問題では、
「籠池氏『昨年10月、稲田氏と会った』 本紙に証言『感謝状』贈呈式で」
と題する記事(3月16日付1面)で、籠池氏と妻・諄子氏が16年10月22日の防衛大臣感謝状贈呈式で稲田朋美防衛相に会ったと同紙の取材に対して証言したと報じていたが、3月18日の紙面では「その後の取材で籠池氏が感謝状贈呈式に参加していなかったことがわかった」として、16日の記事を「取り消す」とする記事を掲載していた。
民進党の大西健介参院議員は3月18日、誤報の経緯を報じる記事にリンクを貼りながら、
「こういうこともあるので、籠池氏の証人喚問は気をつけないと...」
とツイート。また、注目を集めている振替用紙についても、
「ここは、私も慎重であるべきだと思います。修正テープで消した100万円の振替払込用紙というのも、いかにもという、微妙なもの」
と指摘した。民進党の玉木雄一郎衆院議員も3月17日のツイートで、
「しかし、これはあくまで籠池理事長側の資料で検証が必要だ。先ほど23日の「証人喚問」が正式決定した。嘘をつけば罪に問われる。だからこそ、そこで語られる事実をきちんと見極めたい」
と慎重姿勢を示している。
旧民主党は、ライブドア事件をめぐり、捏造されたメールを根拠に自民党を追及した「偽メール事件」の過去がある。この事件では前原氏は代表を辞任。質問した永田寿康衆院議員(当時)は議員辞職に追い込まれ、精神科に入院した末に自殺している。
大串博志政調会長は3月18日に更新したフェイスブックで、この事件に触れた。
「国会での取り上げた方もそれ(編注:国有地払下げや小学校の認可に政治家からの圧力があったか)を踏まえたものであるべき。なぜなら私たちには過去に『偽メール事件』という苦い経験があります。あくまでも『寄付』というセンセーショナルな見え方に対して軽挙妄動せず、真実を冷静に辿ることが大事です」
共産・小池氏「私が信用したとかね、そう言ったことを言うよりは」...
テレビ番組でも同様の発言が相次いだ。3月19日の「新報道2001」(フジテレビ)でも、籠池氏に直接ヒヤリングした共産党の小池晃書記局長は、「小池さんは信用しました?」というキャスターの質問に対して、
「それも含めて...。私が信用したとかね、そう言ったことを言うよりは、やっぱり国会で喋るわけですから、それを皆さん見ていただいて、それで判断してもらうべき」
と話し、籠池発言の信ぴょう性に関する評価を避けた。
スタジオに同席していた民進党の柿沢未途・役員室長も、籠池氏が昭恵氏から寄付を受け取ったと主張していることについて、
「これはやっぱり、にわかに私たちも信じがたいところもあって、本当に籠池さんが当時の状況とか物証になるようなものとか、お示しいただけるのかどうか、こういったことが、やっぱり証人喚問のひとつの焦点になってくると思う」
と話した。