今度は「若者の献血離れ」なのか。2017年3月14日に厚生労働省が発表した献血量や献血者数の調査結果である「平成28年度血液事業報告」によると、調査が始まった1994年以降10~20代の献血者数は減少し続けている。
全年齢の献血率も6~7%程度と低い水準が続いており、同報告書では日本赤十字社の試算として、現状の献血率のままでは2027年に約 85 万人の献血者が不足する可能性があるという深刻な数値を掲載している。
16歳から可能な200ミリ献血の需要はわずか
日本の献血事情は深刻な状況にあるようだが、大丈夫か。厚労省医薬・生活衛生局血液対策課にJ-CASTヘルスケアが取材を行ったところ、献血推進の担当者からは意外な答えが返ってきた。
「85万人不足というのは、シミュレーションの誤りだと考えられます」
実は、試算当時は必要血液量を多めに見積もっていたなどいくつか条件設定に誤りがあったというのだ。むしろ必要血液量は減少しつつあり、供給量も現在のまま推移すれば十分で、現在は新たな計算方法をもとにより正確な試算を進めていると明かした。 だが若年層、特に10~20代の献血者数や献血率が減少しつつあるのは事実だ。「若者の献血離れ」が進んだ要因として、担当者はあくまでも同省による推測としつつ、「献血量の需要の違い」を挙げた。
全身献血の場合「200ミリリットル」と「400ミリリットル」の2つがあり、採血基準では男女ともに16歳から200ミリの全身献血が可能だが、400ミリは男性17歳、女性18歳からとなる。
「現在、医療機関の血液需要の95%は400ミリとなっており、200ミリにはほとんど需要がありません。せっかく若い世代が献血を希望しても需要がないと断られてしまい、そのまま献血への意欲を失っている可能性があります」
200ミリも2つ足せば400ミリにはなるが、その分複数人の血液を混ぜることになる。医療機関としては輸血による感染症のリスクを上げたくないという事情があり、400ミリに需要が偏ってしまうのだ。