【世界一受けたい授業】(日本テレビ系)2017年3月4日放送
「お役立ちミステリー チーズの科学」
チーズフォンデュやピザ、スイーツなど、様々な料理に使え、好きだという人も多い「チーズ」。実はただおいしいだけでなく、健康な体づくりにも役立ちそうな食材だ。
番組では、チーズの色々な効果を、東北大学大学院農学研究科の齋藤忠夫教授が解説した。
脳内に老廃物を沈着させない
2015年、カマンベールチーズは認知症予防に効果があるとの研究結果が発表された。
年齢を重ねると、脳内に「アミロイドβ」という老廃物がたまる。これが沈着すると、脳の働きをつかさどる神経細胞「ニューロン」の情報伝達が正しく行われず、記憶や認知機能が維持できなくなる。
マウスにカマンベールチーズを食べさせる実験で、アミロイドβの沈着を抑える効果が認められた。
WHO(世界保健機関)は、チーズは虫歯予防に期待できると発表している。
チーズに含まれるリン酸カルシウムが、虫歯でできた歯の小さな穴を補修するためだ。
最もカルシウムを含むチーズは...
チーズには、血圧を下げる「ペプチド」という成分が豊富に含まれる。さらにカルシウムやカリウムが、高血圧の原因の一つであるナトリウムを体外に排出する作用があり、高血圧予防が期待できる。
熟成タイプのゴーダチーズやチェダーチーズが特に効果的で、カリウムが含まれる枝豆、アボカドと一緒に食べるとさらによい。
チーズは牛乳を約10倍に濃縮したもので、カルシウムの宝庫でもある。食品に含まれるカルシウムは全て体内に吸収されるわけではないが、野菜の吸収率が約15%、魚が約25%なのに対し、チーズは約40%と高く、骨粗しょう症予防にも効果を発揮する。
チーズの中でも最もカルシウムを含むのがパルメザンチーズで、ビタミンDが豊富なしらすと一緒に食べるとよりカルシウムの吸収率が高まる。
チーズは水分を除くと、半分はタンパク質、半分は脂肪でできている。太りやすいイメージを持っている人もいるかもしれないが、チーズに含まれる乳脂肪は分解されやすく、体に蓄積されにくい。適量を食べていれば太りにくい体質になる。
チーズには「グルタミン酸ナトリウム」という、うま味成分が含まれる。うま味の刺激は脳に伝わって唾液や消化液が多く分泌され、胃や腸の動きが盛んになり、消化吸収が活発になる。「おいしい」と感じることが健康につながるというわけだ。