小児ぜんそくの予防に「ビタミンD」? 発作の症状も軽くなる2つの最新研究

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「ゼイゼイ」「ヒュウヒュウ」苦しい呼吸が少なく

   ロンドン大学の研究は、ぜんそく患者がビタミンDをとると症状が軽くなるというものだったが、豪メルボルン大学が行なった研究は、ビタミンDを多くとると、子どものぜんそくの発症率が減るという研究だった。予防効果があるというのだ。アレルギー専門誌「Journal of Allergy and Clinical Immunology」(電子版)の2017年2月号に論文が掲載された。

   同誌の論文要旨によると、子どものビタミンDの過不足は、血液中の「血清25(OH)D」の値を測ると分かる。そこで、研究チームは、ぜんそくのリスクが高い子どもを対象に10年間にわたり追跡調査した。出生時、生後6か月、1、2、3、4、5、10歳時に、血液を採取して「血清25(OH)D」値を測定し、その時にぜんそくを発症しているかどうか調べた。まだ、ぜんそくになっていない子どもたちの「その後」を調べたわけだ。

   その結果、生後6か月と2、3歳の時点で「血清25(OH)D」値が低い子どもほどぜんそくになりやすいことがわかった。また、「血清25(OH)D」値が低い期間が長い子どもほど、10歳になった時に「ゼイゼイ」「ヒュウヒュウ」というぜんそく特有の苦しい呼吸(喘鳴・ぜんめい)が激しくなり、湿疹や発作が起こる回数も増える傾向がみられた。

   ところで、子どもに食事でビタミンDをとらせるには、どうしたらよいだろうか。ビタミンDを多く含んでいるのは、アンコウやイワシ、ニシン、イクラ、サケなどの魚介類とキクラゲなどキノコだ。子どもの骨の成長に欠かせないが、摂りすぎると、高カルシウム血症や腎機能障害を引き起こす。このため、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」(2015年版)の中で、1日に摂る「目安」と「許容限度量」を定めている。

   こども(0~14歳)では「目安」は年齢ごとに異なるが、2.0~6.0マイクログラム、「許容限度量」は20~90マイクログラムだ。20歳以上の成人の「目安」は5.5マイクログラム、「許容限度量」は100マイクログラムだ。文部科学省の「食品成分データベース」によると、イワシ1尾に含まれるビタミンDが32マイクログラム、ニシン1尾が22マイクログラムだから、魚介類をしっかりとる普通の食生活では心配ない。ただ、最も多いアンコウのキモは1切れ(50グラム)で55マイクログラムも含まれているから、食べすぎに注意したい。

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