ガス自由化が目前 これから起きる変化

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   都市ガス小売りの全面自由化が2017年4月1日にスタートする。今のところ、一般家庭に都市ガスを供給するのは大手電力など10社(3月8日現在)にとどまるが、16年4月の電力小売りの全面自由化と合わせ、消費者が電力とガスの購入先を選べるようになる。参入する大手電力などに対抗し、大手都市ガスは割安な料金プランを打ち出しており、競争が加速するか注目される。

   一般家庭向けにガスを供給するのは、東京電力ホールディングスの完全子会社の東京電力エナジーパートナー、関西電力、中部電力、九州電力の大手電力4社のほか、東京ガスの供給区域などにある中小のガス会社6社だ。経済産業省は2016年8月からガス小売りの全面自由化に向け、新規参入者から事前登録を受け付けている。その結果、26社が申請したが、一般家庭への供給を表明したのは大手電力4社など10社にとどまった。16年4月の電力小売りの全面自由化に比べると、やや低調なスタートとなりそうだ。

  • ガス会社の顧客争奪戦が注目される(画像はイメージ)
    ガス会社の顧客争奪戦が注目される(画像はイメージ)
  • ガス会社の顧客争奪戦が注目される(画像はイメージ)

大阪ガスVS関西電力

   しかし、大手電力会社と大手都市ガス会社が、それぞれの市場に攻め込む意義は大きい。とりわけ関西では、新規参入の関西電力と迎え撃つ大阪ガスの値下げ競争が起きている。関西電力が昨16年末に割安なガス料金プランを発表すると、大阪ガスが年明けに新料金を発表して対抗。関西電力がさらに値下げに動くなど、「電力vsガス」の攻防が激しくなっている。

   首都圏では東京電力エナジーパートナーが参入するものの、供給開始は7月から。同社は都市ガス料金のプランをまだ発表していないため、東京ガスも料金の引き下げを表明していないが、ガスと電気をセット契約した場合、料金に応じて付与するポイントを増やすなど、早くもユーザーの囲い込みに動き出した。

   新規参入するLPガス大手の日本ガスは東京ガスに対抗し、一般家庭向けの都市ガス料金プランを発表した。使用量が標準的な家庭で東京ガスよりも年間約3.6%安くなるという。日本ガスは東京ガスの営業区域を中心に、関東の家庭向け販売に参入する。

電力より小さい市場規模

   中部電力と九州電力も、それぞれ地元の都市ガス大手の東邦ガス、西部ガスよりも割安な料金プランを発表している。大手電力には「2016年4月の電力小売りの完全自由化で、大手ガスに顧客を奪われた」との思いが強い。これに対抗し、ガス会社は電気料金とセットでさらなる割引料金を発表するとみられ、両者の顧客争奪戦の活発化が期待される。

   もっとも、全国の都市ガス利用者は約2900万世帯、市場規模は約2兆4000億円で、電力の約8兆円に比べると小さく、大都市圏に偏っているのが特徴だ。都市ガスは1995年以降、電力と足並みをそろえる形で自由化が進んだが、液化天然ガス(LNG)の輸入が大手電力と大手ガスに限られることもあり、電力に比べると異業種からの新規参入が難しく、今後の課題になりそうだ。

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