納豆の香りのする「味噌」
そんなにすごいにおいなのか――。興味が湧いた記者は、早速入手に向けて動いた。3月14日の昼下がり、東京最大のコリアンタウン・新大久保を訪れた。ディープな現地食材がそろうスーパーの冷蔵棚に、それはあった。180グラム入った1パックの値段は300円ほど。
金色のカラータイで止められているだけの、簡易なビニール包装だ。表のラベルはハングル文字だけで、何が書いてあるか分からない。裏のラベルには、「大豆・精製塩」という日本語の原材料表示があった。納豆と違い、塩気があるらしい。鼻を近づけると、包装越しにほんのり納豆のような独特の匂いがする。
帰社した後、期待に胸を躍らせながら包装を解いた。カラータイを外すと納豆の匂いが一層強くなり、近くにいた編集部員に「何かにおわないですか」と指摘された。体臭と思われたのなら心外だ。
気を取り直し、チョングッチャンの塊を箸で崩してかけらを紙皿に載せる。水分の少ないペーストのようで、糸を引くことはない。見た目、感触ともに、大豆の形がしっかり残った味噌のようだ。
おそるおそる口に持っていく。大豆の風味と発酵食品特有の旨みが強い。おそれていたにおいは、意外にもほんのり香る程度。もちろん「全部食べられない」レベルではなく、ろうそくで消臭する必要もなさそうだ。加熱後の変化や商品による差は不明ながら、納豆よりもマイルドで味噌ほど塩分が強くないため、生でも食べられる。チゲはもちろん、ご飯やお酒のお供としても使えそうだな、と感じた。