仙谷氏「実際は就業規則の中身まで分かっているか疑わしい」
同機構が付与する「ホワイト認証」の審査基準は、大きく(1)経営陣が労働法制を遵守する意欲を持っているか(2)労働法制にもとづいて社内労務管理規定が整備され、適切な運用実態が存在するか――の2点。問題がなければ「認証書」と「ステッカー」が与えられるほか「認証ロゴマーク」が使えるようになる。審査は事業所単位で行われ、審査項目は約150。認証の有効期間は2年間で自動更新されず、引き続き認証を受けるには再度審査を受ける必要がある。
認証にあたっての大きな特徴は、規定の整備という形式だけでなく、実態としてその規定が適切に運用されているか、という点まで厳しく審査する点だ。実態調査には労働者と経営者にアンケートも取り、双方の認識の違いを浮かび上がらせる。大川原氏はこう話す。
「形の上では100点だとしても、運用上どうなんだということです。たとえば、時間外労働を行うのに必要な『三六協定』が結ばれている場合、その内容がしっかりと従業員に伝わっているか、などを弁護士が実際に事業所に赴いてチェックします。他に、『パワハラ規定』があったとして、じゃあパワハラ問題が起きたらどこに相談すればいいのか、社内の担当者名は明示しているか。そういった点までチェックします」
仙谷氏は、実態の把握の重要性をこう話す。
「たとえば自分の会社の約款や就業規則を持って歩いている人はほとんどいないでしょう。雇用者は労働条件をどれだけ伝え、労働者はどれだけ受け取り、運用までなされているか。私の経験上、実際は労使ともに中身まで分かっているかは疑わしいです。我々は、そうやって曖昧にされてきた就業規則や労働協約の実態を調査し、専門家のチェックの上で認証を与えていくわけです。ホワイト認証があれば、労働環境が安心できる事業所という印になります」