着メロの「現在」がスゴすぎる スマホユーザーも仰天の「進化」

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   「着メロ」と聞いて、どんな音を思い浮かべるだろうか。あのチープだが味わい深い音源は、フィーチャーフォン(ガラケー)ユーザーにおなじみだった。どれを着信音にするか、散々悩んだという人も多いのでは。

   そんな着メロがなんとスマートフォンユーザーに受け入れられているという。街中で聴く機会はめっきり減ったように感じるが、数十万人の会員を抱えたサービスも健在だ。いまだ根強い人気を誇る着メロの現状を取材した。

  • 「耳コピ」で着メロを作っていく(写真はモバイルファクトリー社内。17年3月16日撮影)
    「耳コピ」で着メロを作っていく(写真はモバイルファクトリー社内。17年3月16日撮影)
  • 「耳コピ」で着メロを作っていく(写真はモバイルファクトリー社内。17年3月16日撮影)

「40代会員はガラケーの思い出をひきずっている」

   記者が2017年3月16日に訪れたのは、モバイルファクトリー(東京都品川区)だ。「レコチョク メロディ」(324円/月)といった着メロの定額取り放題サービスをスマートフォン向けに提供する同社。

   取材に応じたモバイルコンテンツ事業部の塩川仁章氏によると、着メロの定額サービスは「びっくりするぐらい」会員数が多いという。その規模、数十万人。

「年齢層は20代から40代まで幅広いです。とくに40代の方は、ガラケーの思い出を引きずりながら使っていただいているのではないでしょうか」

   人気を背景に、「Google Play Music」など定額制のストリーミングサービスに音源を提供したり、LINEスタンプと着メロを合わせた定額取り放題サービスとはじめたりと、同社は新しい着メロサービスを今なお投入し続けている。

   毎月新たに発信される着メロはおよそ1000種、ジャンルも最近のヒット曲から演歌、効果音までと多種多様だ。大人気ゲームシリーズのサウンドエフェクトや、猫の鳴き声、90年代のヒット曲といった「意外な」人気ジャンルも少なくないという。

   いまだ支持される理由は、一体何なのか。同事業部の今泉真智子氏は

「着メロは自分で作れないので、まだニーズが残っているのではないでしょうか。あと、アラーム音、通知音、『子供に聴かせる音楽』など多くの用途が発掘されています」

と分析する。ただ、前出の塩川氏は「数字には表れているんですが、(着メロを)周りで使っている人はいません」とも打ち明ける。用途が多様化しすぎて、把握しきれなくなっているのかもしれない。

   どんな音なのか、試しに聴かせてもらった。多くのトラックが重層的に録音されており、そのクオリティはCD音源に匹敵する。これが今どきの着メロか――。あのピコピコ音に慣れ親しんでいた記者は軽い衝撃を受けた。

着メロ職人のお仕事拝見

   デスクトップパソコンが所せましと並ぶオフィスの一角。小さなシンセサイザーの置かれたデスクが「着メロ職人」の仕事場だ。彼らはミーティングの時間以外、デスクに向かってひたすら音源を打ち込んでいる。

   着メロ職人たちは、同社の社員として音源制作に携わる。塩川氏も「彼らがいないと成り立たないんです」と語るほどの精鋭ぞろいだ。

   今回、某人気バンドの曲を打ち込んでいた、20代の男性社員にインタビューした。譜面を一切見ず、原曲のメロディーをそのままソフトに打ち込み、音源を作っていく。いわゆる「耳コピ」と呼ばれるテクニックで、サビだけなら1日~2日ほどで完成させてしまうのだとか。

「最初はなかなかできませんでしたが、慣れるとスピードが上がりましたね」

   以前、バンド活動をやっていたという男性。得意な曲はやはり「バンドの曲」だという。逆に、最近のヒット曲でも「使うトラックが多く、難しいものはある」と明かす。

   なお、最近の悩みは「音源制作のための小部屋が会社に無いこと」。ギターをオフィスに持ち込んで弾く同僚もいて「周りがびっくりする」ため、「(小部屋が)欲しいんですよね...」と切実さをにじませた。

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