高校野球のセンバツ大会を前にした甲子園球場での練習に女子部員が初めて参加。野球だけでなく女性のスポーツ参加に大きな流れがはっきりしてきた。
目の前に甲子園土がありました
甲子園での女子部員の練習参加は全国紙の一面に掲載されるなど大きなニュースとなった。2017年3月14日に始まった練習で、岩手・不来方(こずかた)と岐阜・多治見、高知・中村の女子マネジャーがノックする監督にボールを渡すなどサポートした。
「目の前に甲子園土がありました」
「グラウンドに立ち幸せ」
彼女たちの初々しいコメントである。ただし練習参加といっても、決められたエリア、ヘルメット着用など条件付き。それでも長い高校野球の歴史に新たなページを印したことに変わりはない。
これまで女子生徒がグラウンドでの練習に参加できなかった理由の一つに「危険と安全」の問題があった。
硬式野球を経験した方なら分かるだろうが、硬球が当たったときの痛さは半端ではない。骨折もある。ゴロを体の正面で止めろ、と指導される内野手の体にはアザができる。それも、いくつも、だ。
女性は顔をはじめ体にボールが当たって傷や後遺症が残ると、のちに響くという考え方があった。安全面を重視したのである。
女子柔道着の黒帯も黒一色に
このような女性とスポーツの関係はこれまで何度も話題になった。
2020東京五輪のゴルフ会場で、女性会員を認めないという規約について問題になったばかり。「男女平等」を謳うIOCの考え方と異なるからだった。ゴルフでいえば、マスターズの会場で知られる米ジョージア州のオーガスタも女性に門戸を開いた。
つい最近、柔道でも変革があった。国内試合で使われる女子柔道着の黒帯に白線が入っているが、それを男子と同じ黒一色にすることになった。白線があったことで世界は「差別的」とし、国際大会では使用を認めていなかった。
古くは大相撲が取り上げられた。女性は土俵に上がれない、ということで大騒ぎになった。相撲は神事が背景にあるので難しい問題だった。
現在のスポーツ界を見ると、女子選手の活躍が目覚ましい。国際大会で堂々と戦っているし、好成績を挙げているのはだれもが認めているところだ。きっかけは女子サッカーの世界一だった。このマイナー扱いだったスポーツが一気に全国区になった。
いまや「スポーツ界に女性時代」の到来といっていい。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)