読売新聞は2017年3月15日朝刊(東京本社最終版)で、福島県・いわき支局の男性記者(25)が取材せずに談話を捏造していたとするおわび記事を掲載した。
おわび記事では、捏造は「重大な記者倫理違反」だとして、「談話部分を削除し、記者の懲戒処分などを行います」としている。
「締め切りが迫る中、取材しないまま安易に書いてしまった」
捏造があったのは、7日夕刊と8日の一部朝刊に「『帰還しない職員 昇格・昇給なし』楢葉町長」の見出しで掲載された記事。記事では、福島県楢葉町の松本幸英(ゆきえい)町長が、「『避難先から帰還しない職員は昇格・昇給させないようにする』との趣旨の発言をしていたことがわかった」と報じ、町長が「読売新聞の取材に『(発言は)町職員が率先して帰還する姿勢を示すべきだという思いからだった。今後については改めて協議したい』と話した」としていた。
町長の発言は3月7日朝刊で、毎日新聞や河北新報が報じていた。読売記者はこれらの記事をもとに、町長の発言内容を町に確認しないまま出稿。町長の談話も本人に取材せずに捏造していた。おわび記事によると、記者は「締め切りが迫る中、取材しないまま安易に書いてしまった」と話しているという。
類似事例としては、05年に朝日新聞社長野総局の記者(当時28)が田中康夫・長野県知事(当時)を直接取材したかのようなメモを捏造したとして、懲戒解雇処分を受けたケースなどがある。