サッカー・J2リーグのFC岐阜と松本山雅FCとの白熱の一戦の最中、ユニホームが前半と後半で変わる「珍事件」が起きた。
両チームのユニホームがまさかの「色被り」でパスミスが続出、会場が騒然となり、両チームの監督も「出動」という「トンでも劇」になった。なぜこんなことに?
試合開始早々に会場がざわめく
試合は2017年3月12日、岐阜のホームグラウンドである岐阜メモリアルセンター長良川競技場(岐阜市)で開催された。この日までに、岐阜は開幕から2試合で2引き分け、松本も0勝1敗1引き分けと、今季は両チームともに未勝利。お互い初白星をかけた大事な一戦だ。
試合は岐阜のホームゲームのため、岐阜は上下とも濃い緑色の第1ユニホーム、アウェーの山雅は上下ともグレーを基調とした第2ユニホームを着用して試合に臨んだ。
ひとつひとつのユニホームは明らかに違うが、緑とグレーは、色のトーンがもともと似通っており、当日の天候が曇りだったことも相まって、光の加減によっては山雅のユニホームが緑にも見えることが問題だった。
前半12分ごろ、岐阜・MFの永島が、あやまって山雅MF・工藤にパスをし、今度は工藤が岐阜・DFの田中へパス、と普段のプロサッカーではなかなかお目にかかれない「パスミス」合戦が続出。会場はざわめき、両チームのベンチからは監督が飛び出し、試合は一時中断に。ユニホームを変更するかどうかで、レフェリーと協議が行われた。
その後、しばらくして試合は再開。前半はそのまま続行されたが、後半には、岐阜が「白」の第2ユニホームに着替えて登場。グラウンドには
「マッチコミッショナーと審判団の協議のうえ、両チームのユニホームが識別しづらいため、後半はユニホームを替えて行います」
と異例のアナウンスが場内に響く。
試合は、前半の一時中断が再開してすぐに、山雅DF・飯田がゴールを決め、これが決勝点となった。
「ユニホームに規定はないのか?」
3月12日付のスポニチアネックスでは、試合後の山雅・反町康治監督の談話を紹介している。
反町監督は「前半と後半でユニホームが違う相手と試合しました」と皮肉たっぷりに発言。その後、
「常に言ってます。ユニホーム(の何色を着用するか)を見て、これでいいのって?はっきり言ってJリーグが精査してないから」
とJリーグに「苦言」を呈した。
ネットの掲示板でも、
「試合前に気付け!」
「これ運営は罰金もんだろ」
「マッチコミッショナーしっかりしろw」
「ユニホームに規定はないのか?」
と、運営や審判団への非難とともに、そもそもユニホームに関するルールは無いのか、といった疑問の声も多い。
ユニホームの最終決定はJリーグ
Jリーグを運営する日本プロサッカーリーグの広報は14日、J-CASTニュースの取材に対し、
「ユニホームの決まりは当然あります」
と話す。「Jリーグ規約」第49条第4項には、ユニホームに関する要項がある。その中に「ユニホームの事前承認」という項目があり、全クラブは、シーズンが始まる前にJリーグに使用予定のユニホーム見本を提出し、承認を得なければならない。
本来なら、ここで「色かぶり」があった場合、カラーの変更を要請するという。
今回の事件、実は、事前承認の段階で、山雅の第2ユニホームが「区別しづらい」との懸念があり、山雅側に伝えていたという。しかし山雅側は問題ないとし、結局、変更しなかった。ユニホームの最終決定はJリーグが下すが、ユニホームにはチームやファンの強い思いが込められている場合が多く、クラブ側の意見を「最大限配慮する」という。また、提出されたデザイン画と、実際のユニホームの色は、スタジアムの環境や天候状況で異なって見える場合もあり、判断は難しいともいう。
反町監督の「Jリーグが精査してないから」との批判に対しては、事前にクラブ側に伝えていたため
「クラブと監督の間で意思疎通がうまくいっていないのではないでしょうか」
とキッパリ。
今後は、山雅に、ユニホームの変更や、第3ユニホームの検討などを含めた「指摘」をするとした。