【主治医が見つかる診療所】(テレビ東京)2017年2月27日放送
「あなたと家族を守る『脳卒中』の新常識2HSP」
脳梗塞、くも膜下出血、脳出血を含めた脳卒中は恐ろしい病気だ。死亡者数は40歳を超えると増え始める。決して高齢者だけが襲われるわけではない。
脳卒中のサインは、体に現れる。もし家族に異変を感じた時、あなたは正しく対処できるだろうか。
脳の病気の多くは体の片側に異変が現れる
番組に出演する脳神経外科、上山博康医師が監修した、脳卒中の「危険度セルフチェック」がある。以下の7項目のうち、3個以上が当てはまると将来脳卒中になる恐れがある。5個以上の場合は、今のままの生活習慣を続けたら脳卒中になる可能性が高い。
1.年齢が40歳以上である。
2.野菜や果物をあまり食べない。
3.味付けが濃い料理が好き。
4.肥満である。目安はBMI(体格指数)の値が25以上。
5.日頃ほとんど運動をしない
6.タバコを吸っている。
7.家族や親せきで脳卒中になった人がいる。
番組では、脳卒中を体験した人に当時の様子を振り返ってもらった。現在83歳の山口豊子さんの場合、4年前に老人会のメンバーと一緒に舞台でコーラスを披露していた際、突如体調がおかしくなった。歌っている最中から、左半身に異常な寒さを感じた。食事をとろうとすると、なぜか喉を通らない。何とか自宅に帰りついたところ、孫が山口さんの異変に気付いた。最初は熱中症かと思って水を飲ませようとすると、口の端からタラタラとこぼしてしまった。孫はさらに、顔にゆがみが出ているのに気付いた。
すぐに救急車を呼んで病院に行ったところ、脳卒中との診断だった。幸いに対応が早かったため、今も後遺症は出ていない。
2016年8月に脳出血を患った女優・河合美智子さんの場合、「計算ができない」「右半身が固まった」「ろれつが回らない」といった症状が出た。
実は脳の病気の多くは、体の片側に異変が現れる。
上山医師「脳の大原則がありまして、(体の)両側に異常が起きることはほとんどない。左側の脳に何か起きたら右半身に異常が出る。右の脳に起きたら左半身に異常が出ます」
視野や握力の異常にも注意
上山医師によると、左脳には言語中枢がある。また計算にも影響する。左脳に異常が起きると「失算失書」の恐れがあるという。河合美智子さんの証言を見ると、計算ができなくなり、右半身が固まったと話していることから、このケースに当たると思われる。
ほかにも、脳卒中が疑われる体のサインがある。日本薬科大の丁宗鐵学長は、「目に来るタイプ」を紹介した。モノが二重に見えたり、視野の一部だけしか見えなかったりしたら要注意だ。心療内科の姫野友美医師は、握力の低下を挙げた。コーヒーカップが持てない、スプーンがポロポロ落ちた、と訴えた患者がいたため、調べたら脳梗塞だったという。
家族や友人が脳卒中になり様子がおかしい。そこで救急車を呼んだとしよう。到着までの数分間、どのように対処するとよいか。
上山医師によると、脳出血やくも膜下出血の人の8割は吐くため、仰向けにしてはいけない。吐物が気道に入って窒息死する恐れがあるためだ。まず、横向きに寝かせて、顔が下に向くようにする。もう1点重要なのが、マヒしている側を上にすること。例えば右半身に異常が出ている場合、喉も同じくマヒが出ているので、寝かせる際に下にすると吐物が気管に入ってしまう。