視野や握力の異常にも注意
上山医師によると、左脳には言語中枢がある。また計算にも影響する。左脳に異常が起きると「失算失書」の恐れがあるという。河合美智子さんの証言を見ると、計算ができなくなり、右半身が固まったと話していることから、このケースに当たると思われる。
ほかにも、脳卒中が疑われる体のサインがある。日本薬科大の丁宗鐵学長は、「目に来るタイプ」を紹介した。モノが二重に見えたり、視野の一部だけしか見えなかったりしたら要注意だ。心療内科の姫野友美医師は、握力の低下を挙げた。コーヒーカップが持てない、スプーンがポロポロ落ちた、と訴えた患者がいたため、調べたら脳梗塞だったという。
家族や友人が脳卒中になり様子がおかしい。そこで救急車を呼んだとしよう。到着までの数分間、どのように対処するとよいか。
上山医師によると、脳出血やくも膜下出血の人の8割は吐くため、仰向けにしてはいけない。吐物が気道に入って窒息死する恐れがあるためだ。まず、横向きに寝かせて、顔が下に向くようにする。もう1点重要なのが、マヒしている側を上にすること。例えば右半身に異常が出ている場合、喉も同じくマヒが出ているので、寝かせる際に下にすると吐物が気管に入ってしまう。