米国の原子力事業で巨額損失を抱えて経営再建中の東芝は、第3四半期報告書(2016年4~12月期決算)の発表を再延期すると、2017年3月14日に発表した。同日、関東財務局に提出期限の再延長を申請した。
東芝は、不適切会計の影響で2015年3月期の決算発表を2度延期した経緯がある。今回の再延期で4度目となり、企業としての信用は危機的な状況に陥っている。四半期報告書の新たな提出期限は4月11日だが、1か月延びたからといって上場を維持できるかどうかは不透明な状況が続きそうだ。
「監理銘柄(審査中)」に指定
東芝株が一時、急落した。2017年3月14日の東京株式市場で、東芝株は朝から売り気配が強まり、一時196円10銭まで急落して200円を割った。前日から18円80銭(8.7%)もの急落だ。
しかし、午後になると関東財務局が決算発表の延期を承認。東芝も今後の「東芝の姿」に関する説明資料を公表したことが好感され、値上がりに転じた。終値は1円(1.0%)高の215円90銭で引けた。
関東財務局が決算発表の再延期を承認しなかった場合、8営業日後の3月27日までに決算発表しないと、株式の上場廃止が決まるところだった。
東芝の2016年4~12月期決算の発表は当初、2月14日だったが、それを3月14日まで延期した。東京証券取引所によると、過去、決算発表を再延期した上場企業は東芝だけで、今回で4度目の延期となる。上場廃止の規定には、期限までに決算報告書の提出がない場合、8営業日の猶予をみても提出されなければ、株式の上場廃止が決まる。
東芝が新たな提出期限の4月11日までにきちんと決算報告書を提出すれば、上場維持の見通しは立つが、万一再び間に合わなかった場合は4月25日がタイムリミット。この日に提出されなければ上場廃止が決まり、その1か月後に上場廃止となる。
一方、東証は3月14日、東芝株を上場廃止の恐れがある「監理銘柄(審査中)」に15日付で指定すると発表した。東証は2015年に不適切会計が発覚したことに伴い、15年9月15日に東芝を内部管理体制に問題がある特設注意市場(特注)銘柄に指定。1年半が経過したため、東芝の内部管理体制が改善されなかったと認められた場合には「上場廃止」になることから、投資家への注意を促すことにした。
監理銘柄の指定は、上場廃止基準に該当するかどうかを判断する日が期限。いよいよ追い詰められた東芝だが、同日「早期に監理銘柄(審査中)の指定を解除できるよう、全社一丸となって最大限の努力をしていく」とのコメントを発表した。