アメリカ経済「混乱しかねない」 トランプvs「FRB」の神経戦

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FRBが利上げに踏み切った結果、ドル高に振れるようなら...

   政権とFRBが、より見解を異にするのが金融機関への姿勢だ。オバマ前政権は大手金融機関に高い自己資本比率を求めるなど、金融危機の再発を防ぐため「金融規制強化法(ドッド・フランク法)」を制定したが、トランプ大統領は2月、これを見直す大統領令に署名した。厳しい規制を課す大手金融機関の範囲を狭めることなどを目指すとみられているが、イエレン議長は「十分に規制された金融市場は、金融の安定に有益な役割を果たす」などと述べている。

   政権の為替政策と、為替の先行きも不透明だ。経済政策が全体として反映する一方、政権のスタンスにも左右されるのが為替市場だ。トランプ大統領が人民元やユーロ、円の「安値誘導」批判を口にして世界の市場を困惑させたが、これは、イエレン議長もメンバーの先進7か国(G7)や主要20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議の議論からは外れる「口先介入」だ。ムニューチン財務長官は「長期的にはドル高は好ましい」と述べ、大統領の発言の修正に動いているようにみえる。しかし、FRBが利上げに踏み切った結果、ドル高に振れるようなら、政権から「不規則発言」が飛び出すかもしれない。

   イエレン議長の任期は2018年2月までで、トランプ大統領はすでに「再任せず」を明言している。その後任人事をにらみながら、政権とFRBが神経戦を展開しているようにも見える。「政権の政策の見通しが立てにくい中、両者の対立で金融政策が後手に回って経済が混乱しかねない」(全国紙経済部デスク)との懸念は消えない。

   今週は、先に紹介した利上げが予想されるFOMC、ムニューチン長官の国際デビューとなるG20財務相・中央銀行総裁会議(17~18日、ドイツ)と、重要イベントが続く。FRB、トランプ政権がどのようなメッセージを発するか、目が離せない。

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