SNSにまつわる「就活都市伝説」は多い。企業は応募者のSNSをどうチェックしているのか、就活生なら気になる点だろう。
そんな中、ツイッターに投稿された話が注目を浴びている。そのユーザーは、企業の人事担当者から「(応募者が)実名でSNSをやっていないとむしろ不信感を持つ」と聞いたようなのだ。反応はさまざまだが、そうした認識は「普通」なのか。専門家に聞いた。
実名SNSが出てこないとNG?
きっかけは、17年3月9日に投稿された
「今日人事の人と話してたら『エントリーしてきた大学生の名前を検索してFacebook等でマズい書き込みしてないか確認してるけど、今どきの大学生で実名で検索してSNSが何も出てこないと逆に不信感持つ』という話を聞かされて『なんて時代なんだ......』とその場で頭抱えそうになりました」
というツイート。投稿者が就活生かどうかは不明だが、就活生の間で反響を呼んでいる。
企業が応募者のSNSをチェックしている――。そんな話を小耳にはさみ、思わず自分のアカウントを確認、ネガティブな投稿を削除した、という就活生は多いだろう。しかし、同ツイートによると、企業が気にする点は「SNSを実名でやっているかどうか」だというのだ。
内容の意外性から、ツイッターで
「落とす理由探しか」
「就活生もたいへんな時代だな」
「この人事の名前でエゴサーチしてやりたい」
と物議をかもし、まとめサイトにも転載されて、大きな話題となった。
企業が導入する「内定者SNS」
ツイートの内容は事実なのか。『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)などの著書で知られる、大学ジャーナリストの石渡嶺司さんは
「ちょっと古い話じゃないですかね」
と疑問を呈する。
というのも、学生がSNSで「炎上」する事件がピークを迎えていたのは5~10年ほど前。そうした時期でも企業は、就活期間の中盤から終盤の選考に残った応募者に限り、チェックというより「軽い興味で」調べる程度だったらしい。
「多少ネガティブな投稿があっても、内定後に注意すれば済む話ですし、あまり気にしていませんでしたね」
そして現在は、LINEをはじめ、クローズドなSNSが学生の間で主流になったこともあり、
「(学生のSNSアカウントを)気にする企業はほとんどないんじゃないでしょうか。SNSがきっかけで学生に不信感を持つ人事担当者は少ないでしょう」
と指摘する。
一方、企業が内定者に自社導入したSNSを使わせ、そこでの振る舞いや発言をチェックする場合はあるという。
「『内定者SNS』といい、企業が予算を付けて導入します。話題は日常会話から課題のやり取りまでと幅広いですが、内定者の入社意欲や熱意をチェックし、内定を辞退しないかどうか見ています」